高い獲得効率の裏側で見えてきた認知率の課題
──ロート製薬が展開する発毛剤ブランド「REGRO(リグロ)」の概要と、これまでの広告展開について教えてください。
原:REGROは2018年に誕生した、壮年性脱毛症に悩む方に向けた第1類医薬品の発毛剤ブランドです。発毛効果に科学的根拠がある有効成分「ミノキシジル」を国内承認の最大濃度である5%配合し、薄毛の悩みに直面した方が初めて手に取る発毛剤を目指して立ち上げました。
原:広告展開においては、初期から「SmartNews Ads」の運用型広告「Standard Ads」を活用してきました。SmartNewsは他媒体に比べて“ながら見”が少なく、能動的に記事を読む専念視聴の傾向が強い媒体です。広告の受容性も高く、REGROのコアターゲットである「働く30〜50代男性」へ的確に届くことから、高い獲得効率を維持できていました。
──Standard Adsで成果が出ていたとのことですが、新たに見えてきた課題があればお聞かせください。
原:私自身が「メラノCC」や「肌ラボ」など、メガブランドのEC展開を経験した後にD2C事業部へ着任したため、ブランド認知率の圧倒的な差を痛感しました。
D2Cや通販では投資効率を重視するあまり、購買意欲の高い層だけにアプローチするローワーファネル施策に偏りがちです。しかし、刈り取りだけに閉じていると広告出稿を抑制した瞬間に売上が落ちてしまいます。いわばブランドの基礎体力がつかない状態となり、事業成長の限界が見え始めていました。長く選ばれ続けるブランドへ育てるには、認知率を根本から引き上げ、事業の土台を強くする投資が不可欠だと考えたのです。
──発毛剤市場における競合環境も影響していたのでしょうか。
原:はい。発毛剤市場には、誰もが真っ先に思い浮かべる強力なブランドが存在します。第一想起を獲得している競合は、獲得広告を過度に打たずとも自然に選ばれます。対してREGROではダイレクト系の施策に閉じていたため、第一想起の面で大きな差がありました。運用型広告だけに頼るのではなく、将来の顧客層を育てるためにも、アッパーファネルへの本格的なアプローチを決断した次第です。
1丁目1番地でアッパーファネルを押し広げる
──今うかがった課題を解決するために、REGROではSmartNews AdsのStandard Adsに加えて、新たに「Premium Ads(予約型広告)」を活用されたとうかがいました。Premium Adsとはどのようなプロダクトなのでしょうか。Standard Adsとの違いも含めてお話しください。
佐川:元々REGROのプロモーションで活用いただいていたStandard Adsは、設定した目標CPAに基づきアルゴリズムが配信を自動最適化する運用型広告です。当社が保有する閲読データやコンバージョンデータを用い、顕在層へピンポイントで配信できる強みがあります。
佐川:一方のPremium Adsは、期間保証で一定のリーチ数を担保する予約型広告です。アプリ起動時のファーストビュー、いわばSmartNewsの“1丁目1番地”に広告を大きく掲出します。縦型の「Top News Ads」や、横型の「New Premium Ads」などがあり、強いインパクトとともにブランドメッセージを届けられます。潜在層や検討層へ広く配信し、認知を取りにいける点がPremium Adsの強みです。
1つのキャンペーンをStandard Adsだけで運用し続けていると、最適化が効く一方で、ターゲティングの精緻化にともないアプローチできるセグメントが絞り込まれていく場合があります。そこでPremium Adsを活用し、アッパーファネルを押し広げる狙いがありました。「30歳以上の男性」など、対象属性を絞ってトップ面に掲出できるため、不要なコストを抑えつつ親和性の高い層へ確実にREGROを印象付けられます。

予約型×運用型の両輪で権威性と商品特性を訴求
──Premium AdsとStandard Adsを組み合わせ、具体的にどのような施策を展開されたのですか?
原:2026年2月末から3月上旬にかけての1週間、まずは横型動画フォーマットのNew Premium Adsを活用して広告を配信しました。その後、3月下旬に第2弾として縦型フォーマットのTop News Adsを展開するという2段階のプロモーションです。Premium Adsの配信中および配信後も、ユーザーの受け皿として運用型のStandard Adsを並行して配信し続けました。

──クリエイティブ面ではどのような工夫をされましたか?
原:商品名だけを唐突に出しても響かないため、Premium Adsでは「ロート製薬から出ている発毛剤である」という権威性や安心感を前面に出しました。目薬やスキンケアの印象が強いロート製薬が「本気で作った発毛剤」という驚きとともに、最大濃度のミノキシジルを配合している強みを訴求したのです。一等地の大型広告で強いアテンションを引き、記憶に残すことを徹底しました。
──Premium AdsとStandard Adsで、訴求内容の出し分けや連携はどのように設計されたのでしょうか。
高木:クリエイティブの役割を明確に分担させました。Premium Adsで「ロート製薬発」「ミノキシジル5%配合」という信頼感と成分価値を強く印象づけた一方、受け皿となるStandard Adsでは「狙った患部にピンポイントで塗布できるノズル形状」など、使い心地や利便性といった商品の具体的な魅力を補足訴求する意図です。
原:Premium Adsで「何だろう?」と興味を持ったユーザーに対して、Standard Adsでは「これなら自分でも続けやすそうだな」と使用シーンを想起させる情報を届けるイメージです。認知から興味、理解、そして購入検討へと、ユーザーの心理状態の変化に寄り添ってクリエイティブを届けるサイクルを構築しました。

CVは4.4倍に!CPA36%改善や購入層の若返りも
──施策を実施した結果、どのような成果が得られましたか?
原:CPAを適正な水準に保ちながら、広告運用の投資規模を従来の約2.8倍まで拡大させることができました。Premium Ads配信前後の1週間を比較したところ、コンバージョン数は約4.4倍と大幅に伸長し、CPAも36%改善という非常に手応えのある結果が得られました。
また、影響はSmartNews内にとどまりません。検索エンジンなどで「ロート製薬 発毛剤」といった社名・ブランド関連キーワードの検索数が+20%伸長するなど、他媒体への波及効果も目に見えて現れました。

──「ブランド認知率を高める」「アッパーファネルを押し広げる」という当初の目標は達成されましたか?
原:スマートニュースさん側で実施してもらった調査では、認知度・ブランド好意度・購入意向のすべてで顕著なリフトが見られました。従来のデジタル運用では見えにくかった「ブランドへの寄与率」が可視化され、投資対効果を社内に自信を持って説明できるようになった点も大きな収穫です。

高木:購入層の若返りも確認できました。従来のStandard Ads単体では50代以上の購入が中心でしたが、今回の施策期間中は30〜40代の購入が飛躍的に増加したのです。ファーストビューにインパクトのある広告を掲出したことで、薄毛に悩みつつも具体的な行動を起こしていなかった潜在層へ届き、新規顧客層の開拓が実証されました。
成功要因は予約型を経由したLP来訪者へのリターゲティング
──一般に「認知目的の広告はコンバージョンに直結しにくい」と言われていますが、なぜ今回は獲得効率の向上につながったのでしょうか?
高木:最大の成功要因は、Premium AdsとStandard Adsを両輪で設計したことです。Premium Adsは視認性が高くCTRが高いメニューのため、LP来訪者を数多く生み出せます。その訪問ユーザーをリスト化し、Standard Adsでリターゲティングをかけたことで、購買への転換効率が飛躍的に高まりました。この点が多くのコンバージョンにつながり、全体のCPAを強力に押し下げたと考えています。

──SmartNews Adsの分析機能や豊富なユーザーデータの活用も成果を後押ししたのでしょうか。
原:その恩恵も非常に大きかったです。SmartNews Adsには、広告接触者が普段どのような記事を読んでいるかを分析できるレポート環境が整っています。Premium Adsの実施有無によって来訪者の閲覧記事ジャンルが明確に異なっており「こういう記事閲読傾向のユーザーがREGROに興味を持ってくれたのか」と解像度が上がりました。
理解すべきペルソナは「発毛剤ユーザー」だけに非ず
──今回の成功を踏まえ、今後の展望をお聞かせください。
原:REGROでは「エリア特化型配信」と「競合カテゴリのペルソナの深掘り」に挑戦したいです。地域ごとの反応差を活かした配信や、AGAクリニックなども含めた競合領域のユーザーのペルソナ分析を通じ、REGROが戦うべきホワイトスペースを見極めたいと考えています。
さらに社内展望として、REGROの成功事例をサプリメント「余仁生 冬虫夏草(ユーヤンサン とうちゅうかそう)」などのダイレクトビジネスへも横展開したいです。REGROで確立した「予約型×運用型のフルファネルパッケージ」を展開し、ローワー刈り取り至上主義から脱却したD2Cの新たな成長モデルを示せると思います。
高木:スマートニュース側としても、ご提案できる選択肢をさらに広げていきたいと考えています。配信エリアを絞ったPremium Adsのパッケージはもちろん、広告の配信結果と記事の閲覧行動データを基に、広告が届いた人・反応した人のユーザー像や関心傾向をAIで可視化するレポート機能「スマートペルソナ」も提供しているため、そうしたメニューにもぜひ一緒にトライしていきたいです。
今回は初回のトライで非常に良い成果が得られましたが、成果を伸ばすためのレバーはまだまだたくさんあります。たとえば、Premium Adsのクリエイティブにタレントを起用してみたり、動画と静止画のフォーマットを組み合わせたり、訴求メッセージのパターンを細かく検証したりと、改善の余地は広がっているはずです。今後もロート製薬様とともにクリエイティブやターゲティングの検証を重ねて、さらなる成功パターンを追求していきたいですね。
──最後に、運用型広告の頭打ちに悩むマーケターへ佐川さんからメッセージをお願いします。
佐川:CPAが悪化した際、既存キャンペーン内でバナーやLPを微調整するだけでは限界が訪れます。壁にぶつかったときこそ、プラットフォーム内で「新しいユーザーとの接点をどう広げるか」に目を向けていただきたいです。SmartNewsの読者は情報感度が高く能動的だからこそ、広告を「自分に必要な情報」と捉えて行動に移してくれます。ファネルを広げ、将来の顧客を育てる投資として、ぜひPremium AdsとStandard Adsの併用を検討いただければ幸いです。
“ながら見”されない記事体験が、ブランドメッセージを確実に届ける
今回の記事でもご紹介したように、SmartNewsでは予約型広告「Premium Ads」と運用型広告「Standard Ads」を組み合わせることで、ブランド認知の拡大と広告効果の向上を同時に実現できます。サービスサイトでは「業種別数値パフォーマンス」や「SmartNewsユーザーの特徴」などについても詳細をご紹介しておりますので、本記事とあわせてご確認ください。

