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MarkeZine Day 2026 Autumn

成熟市場で勝ち続けるブランド設計とは?日本ハム「シャウエッセン」と花王「ビオレ」のカテゴリー拡張戦略

MarkeZine編集部[著] / 川口 紘[写]

「焼くべからず」を解禁 食シーンを広げたシャウエッセン

山口(インサイトフォース):両ブランドともカテゴリー拡張を進めてきました。ブランドはカテゴリーに紐づきやすく、どこまで広げてよいかは悩ましいところです。

岡村(日本ハム):シャウエッセンには、パリッ!!とした食感を守るための“掟”がありました。「黄金の3分間ボイル」を推奨し、こだわり抜いた1つの味を守り続ける。そして「焼くべからず」「切るべからず」というタブーです。

シャウエッセンの掟とタブー
シャウエッセンが守ってきた“掟”と“タブー”
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岡村(日本ハム):一方で、ブランドは当社だけのものではなく、お客様のものでもあります。生活に合わせて進化させなければなりません。そのため2019年には、パッケージにも「禁止」と記載していた電子レンジ調理を解禁しました。同年には、辛い味やチーズ入りのフレーバー商品で、おつまみ需要や子どもや女性向けにターゲットを広げています。

 2024年には、思い出される場面そのものを増やすため、カテゴリーエントリーポイント(CEP)を意識した商品を出しました。そのまま食べる「シャウスライス」はハム売り場での接点づくりが狙いです。そして夜味は夕食シーンへの拡大を狙いました。

画像を説明するテキストなくても可

 従来のシャウエッセンは朝食・昼食での利用が約8割ですが、夜味は62.5%が夕食で食べられており、シャウエッセン全体の夕食利用も3.2ポイント上がりました。実は夜味では焼き調理も解禁しました。夕食の場面で、わざわざボイルはしないだろうと考えたからです。

夜味とシャウエッセンの食シーン比較
「夜味」とシャウエッセンの食シーン比較。夜味は62.5%が夕食で食べられていた
※クリックすると拡大します

肌を「ヒューマンインターフェース」と定義し、BtoBにも領域を拡張

小林(花王):ビオレが重視しているのは、「肌をどう捉えるか」。私たちは肌を「ヒューマンインターフェース」、つまり人と人、人と社会をつなぐ接点と捉え、「肌を通して人と社会のつながりを育む」と定めました。これさえ守れば、あとは何をやってもいいとしたのです。

 あわせて、向き合う社会課題を「環境ストレス」と定義しました。地球沸騰化による暑さや強い紫外線、衛生面の課題など、私たちの生活は様々な環境ストレスに囲まれています。そこから素肌を守るという軸があるからこそ、製品アイデアが生まれてきます。

 わかりやすい例が、首に巻いて使う「冷タオル」です。この商品を、BtoCだけでなく企業向けの「ビオレの冷サポート」としても展開しました。2026年の目標は500社でしたが、導入企業・団体数は8月時点で1,300社を突破し、9月には1,800社にまで広がっています。

画像を説明するテキストなくても可

山口(インサイトフォース):「ヒューマンインターフェース」の定義はいつ頃決めたのですか。

小林(花王):グローバルで事業を拡張するにあたり、議論を始めたのは2019年頃です。環境ストレスの視点から、暑さや紫外線が強まり、オンラインで何でもできるようになると、人が外出しなくなり、触れ合いが減るのではないか。肌と肌、人と人が触れ合う喜びに貢献できるのではないかと考え、規定しました。

 それまでは洗顔料やボディソープなど「洗う」商品が中心でしたが、グローバルでは知覚品質で差別化しにくい。一方、UVプロテクションなどは差が出やすい領域です。事業ドメインも明確になり、興味関心の高い領域だからこその発話も増えています。

「らしくない」の壁は、生活者起点の対話で越える

岡村(日本ハム):私からも伺いたいのですが、シャウエッセンでは新しい取り組みをするたびに「シャウエッセンらしさ」が問われ、突破するのが本当に大変です。夜味もそうでした。ビオレでは、そういった声はありませんか。

小林(花王):よくあることですね。ただ、それはブランドのルック、佇まいの話であることが多い。生活者にきちんと貢献できる製品であれば、生活者を起点に対話することで、幹部とも目線が合ってきます。

岡村(日本ハム):当社は何度も説明して突破してきましたが、大きな話から語ると通りやすいのかもしれません。勉強になります。

山口(インサイトフォース):強いブランドほど「らしい・らしくない」の議論には歴史があります。お二人の話から見えてきたのは、事業を広げたいというビジネスニーズと、社会やユーザーのためというブランドの思想、その両方の筋を満たさないと社内で“コト”が進まないことです。

 若年層×UGCは、単にシェアを取る話ではなく、発話の起点として上の世代にも波及する。そしてカテゴリー拡張は、ブランドの大本の思想に立ち返って合意を取っていく。そうした姿勢が、成熟市場で勝ち続けるブランドをつくるのだと感じました。本日は、ありがとうございました。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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