社内の壁をどう乗り越えるか:全社を巻き込むインナー施策
コミュニティ施策を進める上で、他部門からの理解が得られず孤立してしまうケースは珍しくない。両社はどのように社内を巻き込んできたのだろうか。

Notionでは、社内連携を次の4層構造で設計している。
「アワードイベントに他部門のメンバーを招待し、ユーザーの熱気を感じてもらうことは非常に効果的でした。それと同時に、コミュニティが事業にどのような価値をもたらしているかをドキュメントに言語化し、各部門との役割分担を明らかにしました」(濵岡氏)
現在はマーケティングとカスタマーサクセスが共同でオーナーシップを持ち、戦略策定や予算管理、イベント企画を分担。営業はイベントへの顧客紹介や事例化の相談に関わり、開発は集約されたフィードバックの共有先となるなど役割を明確化した。さらに新入社員のオンボーディングにコミュニティの価値を組み込み、全社へ啓蒙している。
SUPER STUDIOの場合、社内理解を得るにあたって最も効果を発揮したのは、コミュニティユーザーが1,000人を超えたタイミングで開催したCO-CREATION SUMMITだったという。
「役員や他部門のメンバーに参加してもらい、ユーザーがどれほどプロダクトを愛してくれているかを肌で感じてもらえる機会になりました。現場の熱量を体験したことで社内の空気が一変し、全員の認識が揃いました。数字のレポートだけでなく、顧客の熱量に触れてもらうことが最大の突破口になります」(真野氏)
また同社では、顧客の要望をそのまま開発部門へ渡すのではなく、課題や影響の程度を整理して共有し、開発側が優先順位を判断しやすいよう配慮しているという。
事業成果とユーザー体験のバランスを保つ原則
セッションの終盤「ビジネスの成果を求めることと、純粋なユーザー体験を守ることのバランスをどう取っているのか」という問いが投げかけられ、真野氏は「売り込みすぎないこと」の徹底を強調した。
「コミュニティの主役はユーザーです。集客プールとして短絡的に使おうとすれば失敗します。ユーザーの熱量を損なわないよう配慮し、困りごとが出た段階で初めて提案を行う姿勢が欠かせません」(真野氏)
濵岡氏も「KPIは目的ではなく、優れたユーザー体験が提供できているかを測るための指標に過ぎない」と同調。良い場づくりと実務に役立つコンテンツ提供に集中することが、結果的に最短でKPIを達成する道になるとまとめた。
最後に、BtoBコミュニティに挑む担当者へ2人からメッセージが送られた。
真野氏は「セッションでは成功面を中心にお話ししたが、裏では試行錯誤の連続だった。当社のコミュニティもまだまだ発展途上のフェーズにある。これから始める方は、最初から完璧を目指すのではなく、まずはプロダクトを深く愛してくれている顧客と向き合うことから始めてほしい」と語った。
濵岡氏は「担当者が1人で抱え込むと停滞しやすい。社内でもう1人仲間を見つけるか、熱量の高いユーザーを巻き込んで2人以上の体制をつくることが重要。ユーザーと一緒に創り上げるスタンスが推進力になる」と締めくくった。
