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MarkeZine Day 2026 Autumn

ロングセラーを再成長へ!雪印メグミルクに学ぶ「ブランドマネジメント組織」とリサーチ活用の裏側

セルフインタビュー導入と「全員参加」ルール制定の理由

 顧客の価値観や購買行動が多様化する現代において、定量調査のみに依存して顧客を深く理解することには限界がある。定性調査を通じて一人ひとりの顧客行動を深掘りすることが求められるが、従来の外部調査会社に依頼する手法では、期間とコストの制約から、事業担当者が必要とするタイミングで迅速に調査を実施することが困難であった。

 この課題に対するソリューションとして、リサーチグループの千原隆氏が推進したのが、セルフインタビューツールの導入と、「全員参加型」のリサーチ運用ルールの確立である。

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 担当者自らが対象者をリクルートし、インタビュー実施がオンラインで完結するツールを導入したことで、調査期間は数日に短縮され、コストも大幅に圧縮された。

 しかし、千原氏の取り組みの本質はツールそのものにはない。「全員が同じ言葉で顧客を理解して、お互いの解釈や洞察を共有し合う」という運用体制の構築にある。インタビュー調査にはブランドチーム全員が参加し、対象者の生の声に直接触れる。そして調査直後には「デブリーフィング」と呼ばれる振り返りを全員で行う。同じ顧客の言葉から各々が何を感じ、どのように解釈したのかをすり合わせることで、情報の分断を防ぎ、チーム内で顧客像の解像度を統一していくのだ。

専門部門の伴走で顧客理解を「組織の力」へ

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 千原氏は、「セルフでも調査会社への依頼でもどちらでも同じですが、収集した顧客の声を顧客理解につなげて活用するために大事なことは、関与者全員で結果を共有して共通認識を持つということ」と述べている。リサーチのハードルが下がったことで、チーム内に「疑問が生じたらまず顧客に確認する」という姿勢が定着し、事実に基づいた迅速な意思決定が可能になったという。

 一方で、セルフ調査には、調査設計の不備によるバイアスや、結果の恣意的な解釈といったリスクも潜んでいる。手軽さゆえに「勝手に使われて勝手に解釈される」ことを危惧していた千原氏は、リサーチ部門がブランドチームに伴走し、調査設計から解釈の共有に至るまで、専門的な知見から調査品質を担保する体制を築き上げた。案件の重要度や複雑さに応じて、セルフ調査と外部調査会社の使い分けを判断するのもリサーチ部門の重要な役割である。

 雪印メグミルクにおけるロングセラーブランドの再成長は、突出した能力を持つ個人のひらめきによってもたらされたものではない。鈴木氏が主導する「組織を継続的に動かし、学びを蓄積する仕組み」と、千原氏が牽引する「顧客理解の質を担保し、意思決定のスピードを高めるリサーチ体制」という、異なる専門性を持つプロフェッショナルによる組織への伴走があった。両者のアプローチが両輪として機能し、ブランドチーム全員を巻き込むことで、顧客理解という抽象的な概念を「組織の力」へと昇華させた。これこそが、同社の組織変革が成果を生み出し続けている最大の理由と言えるだろう。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/10/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77700

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