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【特集】IPとマーケティングの関係を探る

なぜ「ヘンテコ」が世界でウケるのか?チーフたまごっちオフィサーに学ぶ、IPの育て方とローカライズ

関口 達朗[写] / 伊藤 桃子(編集部)[著]

デジタルとフィジカルの融合が重要

──商品の売上以外に、ファンエンゲージメントやブランド認知など、IPとしての熱量を測るために重視しているKPIはありますか?

辻:サンリオさんが「サンリオ時間」というKPIを持たれているのですが、我々も売上だけでなく、それに近いものを1つのKPIとしています。ライセンスアウトも含めたトータルの市場を数値に換算して、目標値とし活動しています。おかげさまで、私が就任した2024年から2026年まで順調に推移しています。

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──成果につながった具体的な取り組みを教えてください。

辻:皆様の居住地の近くでリアルイベントを行っています。ポイントは「会いに行ける」イベントではなく、「たまごっちが会いに行く」イベントであることです。日本では「大たまごっち展」が六本木から始まり、新潟、北海道、福岡など全国津々浦々を巡回しています。多くの方に予約・参加していただけています。名称は異なりますが、中国内地やアメリカなどグローバルでも実施しています。

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大たまごっち展・北海道会場の様子(プレスリリースより)©BANDAI

──今、リアルイベントが熱い理由はどこにあるのでしょうか。

辻:デジタルとリアルは背中合わせです。デジタルだけでは物足りなく、感情も動きにくいのではないでしょうか。デジタルとフィジカルの融合が響いているのは、イベントだけではありません。たまごっちのデバイス自体はデジタルなものですが、最新デバイスには、ダイヤルをグルグルと回してお世話するスケールを変えられる「ズームダイヤル」機能がついていて好評です。

完璧じゃない「ヘンテコ」が世界をつなぐ

──文化や価値観の異なる海外展開において、たまごっちの世界観から外れないようにメンバーに伝えていることはありますか。

辻:1つは、その地域の文化や考えをよく知り尊重することです。現地の文化に善し悪しの判断は加えません。しかし、言葉や文化が違っても、生き物を育てる・愛でるという人間の本能は世界共通でとても大事なものだと思っています。そこは外さないように伝えています。

 そしてもう1つは「ヘンテコ」です。完璧で素敵なものではなく、ちょっと不完全でいびつだから可愛がってしまうのも、世界共通だと思います。ヘンテコなところは絶対に入れてほしいと言い続けています。

 すべてがヘンテコである必要はありません。今たまごっちは1,500種類以上いますから、一部が尖っていたりヘンテコであればいいと思っています。「おやじっち」のような絶対に出てこないだろうというたまごっちがいるからこそ、まめっち、くちぱっち、みみっちなどが光ってくる。それ全体が「たまごっち」だ、という伝え方をしています。

──最後に、30周年を迎えるたまごっちが海外も含めてどう仕掛けていくのか、展望を教えてください。

辻:足元では、誕生日の11月23日をピークとして11月7日より約1ヵ月間「シブハラジャック」を実施します。たまごっちの流行を支えた当時の女子高生を象徴する原宿・渋谷で、たまごっちが30周年と思いきや、実は3000周年なのではないかという説を裏付ける発掘品の展示や、原宿・渋谷のお店に隠れたたまごっちたちを探す「たまあつめ(#たまあつめ)」をしながら楽しめるスタンプラリー企画などを予定しています。さらに日本時間の11月23日には、ニューヨークのタイムズスクエアをジャックしてたまごっち一色にします。その際に、世界に広く知ってもらうためのインフルエンサーとの企画も考えています。

 長期的には、3〜4年周期で新デバイスを投入し、新しい技術や遊びを加えつつ、ブームなどに合わせたコラボやライセンスアウトを展開していきます。そうして、新しい螺旋を作っていきたいですね。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

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