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AI提案後に85%が行動。Criteo調査が示す購買の「入口」とCEOが語る会話型広告

MarkeZine編集部[著]

 Criteoは2026年10月22日、「AIによる消費者の購買行動とマーケティングの変化に関する調査」の結果を発表した。同日の説明会では、2025年2月に就任したCEOのマイケル・コマシンスキ氏が登壇し、AI時代のディスカバリーと広告の役割、会話型広告をはじめとするAI上の広告における同社の立ち位置について語った。

Criteoとは:ChatGPT広告の最初のアドテクパートナー

 Criteoは2005年にフランスで創業したアドテク企業で、広告主側(DSP)と媒体・小売業者側(SSP)の双方の機能を備え、自らを「コマースインテリジェンスプラットフォーム」と位置づける。年間1兆ドル超の商取引から得る購買データが同社の基盤だ。

 ChatGPT広告では、2026年3月にOpenAI初のアドテクパートナーとして米国の広告パイロットに参画。6月には日本の広告主もCriteo経由でChatGPTの広告在庫に出稿できるようになった。

消費者:AIは購買の「入口」であって「出口」ではない

 調査は2026年8月28日~31日にインターネットで実施し、20~59歳の一般消費者312人と、従業員500名以上の企業で広告業務に関わるマーケター206人が回答した。

 1年前と比べ、調べ物の際に最初にAIへ質問する割合が増えたと答えた人は73%。一方で、AIから提案を受けた後に85%が何らかの行動を起こし、総合ECサイトで調べる人、実店舗を訪れる人はいずれも39%にのぼった。

 AIの活用率も、商品を詳しく知る「興味」段階の57%から、購入を決める段階では33%に下がる。AIは購買のきっかけをつくるが、そこで買い物が完結するわけではなく、ECサイトや店舗へと送り出す役割を担っている。

調べ物をする際のファーストアクション(1年前からの変化)。AIへの最初の質問が「増えた」「やや増えた」73%、AI利用後にECサイトや店舗等での情報収集や商品購入などの行動をおこす85%
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 AIへの期待は「価格・機能・条件を比較してくれる」(45%)に加え、「好みやニーズを理解し、自分に合った商品・サービスを自動的に提案してほしい」(42%)、「自分では思い至らなかった魅力的な新しい商品やサービスを提案してほしい」(38%)も多い。比較ツールにとどまらず、新たな商品との出会いの場として期待されていることは、AI上の広告にとって追い風といえる。

AIに期待すること。価格・機能・条件を分かりやすく比較してくれる45%、パーソナライズ42%、ディスカバリー38%
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 ただし、AIに購買を委ねたいわけではない。購買をすべてAIに委ねるより、AIの支援を受けながら最終判断は自分で行いたいという人が69%を占め、「迷っている時間が楽しい」(55%)、「最終的な判断を下す時が、買い物で一番ワクワクする」(54%)も半数を超えた。

AIによる購買支援に対する意識。AIによる購買支援を支持69%、複数の商品を比較しながら迷っている時間が楽しい55%、最終的な判断を下す時が買い物で一番ワクワクする54%
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 「AIの提示した情報が本当に正しいのか不安になる」(73%)、「AIに自分の支払い情報を提供することには抵抗がある」(69%)、「AIの回答を見た後、事実を確かめるために検索エンジン等で調べ直す」(68%)と、信頼面の課題も残る。選ぶ楽しさは手放さず、信頼できる場所で買う。消費者のこうした姿勢が浮かび上がる。

AI利用時の不安・抵抗。AIの提示した情報が本当に正しいのか不安になる73%、AIに支払い情報を提供することには抵抗がある69%、AIの回答を見た後に検索エンジン等で調べ直す68%
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マーケター:AIより先に「購買行動の変化」を感じている

 マーケターの75%も、1年前と比べて顧客の購買行動が変わったと実感している。具体的には「AIからの流入が増えた」(58%)、「商品詳細ページへの直接アクセスが増加した」(46%)、「従来のターゲット層とは異なる客層からのアクセスが増加した」(44%)、「検索エンジンからの自然流入が減少した」(43%)が並ぶ。AIというチャネルそのものより、サイトへの入り方や客層の変化として、影響を感じ取っている形だ。

マーケターの消費者の購買行動変化に関する認識。1年前と比較して変化を実感75%、AIからの流入が増えた58%、商品詳細ページへの直接アクセスが増加46%など
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 一方で課題は「変化のスピードが速すぎて、最新情報をキャッチアップできない」(41%)、「AIや他のチャネルをまたいだキャンペーン運用や効果測定ができない」(39%)、「自社の商品・サービスがAIにどのように評価・学習されているか把握する手段がない」(35%)。変化は見えているが、測れていないのが実情だ。

 それでも生成AI上で自社商品がレコメンドされることには92%が興味を示し、「AI検索最適化」(46%)や「パーソナライズ接客・チャットボットの導入」(46%)、「生成AI内での広告活動」(45%)を強化したいと答えた。

消費者の購買行動の変化をうけてマーケターが課題に感じていること。最新情報をキャッチアップできない41%、チャネルやファネルをまたいだキャンペーン運用や効果測定ができない39%など
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 同社パートナーシップ戦略責任者の池田智幸氏は、マーケターにとって重要なのは「AI単体を見ることではなく、その後に続くECサイト、ブランドサイト、店舗などを含めた購買体験全体を理解すること」とコメントしている。

CEO:AI広告はソーシャル広告と同じ道をたどる

 コマシンスキ氏は、AI広告をめぐる現在の懐疑論をソーシャル広告の黎明期になぞらえた。当時も「広告はユーザー体験を損なうのでは」といった疑問が投げかけられたが、ソーシャルメディアは世界有数の広告プラットフォームに成長した。AIプラットフォームでも広告は急速に定着し、ユーザー体験を補完する広告フォーマットが育っていくと、同氏は見解を示した。

Criteo CEO マイケル・コマシンスキ氏
Criteo CEO マイケル・コマシンスキ氏

 同社経由のChatGPT広告では、トラフィックの80%が新規顧客で、コンバージョン率は従来の検索比で1.2~1.5倍という結果も出ている。また、米国の小売500社のデータではAI経由の訪問の7割超が商品詳細ページに直接着地しているという。

ファネル全体へ広がるAIとの顧客接点。CriteoのChatGPT広告経由のトラフィックに占める新規顧客の割合80%、従来の検索と比較したコンバージョン1.2〜1.5倍、商品詳細ページに直接アクセス70%
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 ただし、AIエージェントに買い物をすべて任せる未来には否定的だ。決済や配送への信頼、買い物そのものの楽しさから、取引の主導権は小売業者とマーケットプレイスに残るとみる。

 一方で、小売業者も変化は避けられない。同氏は旅行業界を例に、予約手続きなどの手間をAIで取り除かなければ、顧客との接点を汎用AIアシスタントに奪われると指摘し、顧客が直接訪れるプラットフォームとしての立場を守るべきだと述べた。

 こうした環境で同社が掲げるのが「コマースインテリジェンス」だ。LLMが会話から意図を読み取り、レコメンドシステムが購買データから最適な商品を選ぶ。LLMは言葉の理解には優れるが計算は得意ではないとして、両者を組み合わせることで関連性の高い提案が可能になると説明した。

会話型広告とCriteoの立ち位置

 コマシンスキ氏は、AI上の広告フォーマットとして、5つを挙げた。

  1. ChatGPTの回答の下に文脈に応じて表示される「スポンサード商品広告」
  2. ChatGPT内に小売業者が自ら設ける対話・購入画面「スポンサードエージェント」
  3. 小売業者のチャットボット内でスポンサー商品を表示する「小売業者のチャットボット広告」
  4. ユーザーに次の質問の候補を提示する「スポンサー商品プロンプト」
  5. 広告とその場で対話できる「会話型広告」
AIインターフェースを支えるインテリジェンス。スポンサード商品広告、スポンサードエージェント、小売業者のチャットボット広告、スポンサー商品プロンプト、会話型広告の画面例
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 これらのうち、Criteoは4つを担える。4番目のスポンサードエージェントは小売業者が自社の技術で動かすもので、Criteoは関与しない。Criteoは、ChatGPTの広告枠を運用する立場と、自社の会話型広告フォーマットを持つ立場の両方から、AI上の広告に関わっている。

 なかでも同氏が「お気に入りの1つ」と語ったのが会話型広告だ。たとえば旅行の広告に対し、ユーザーが「この行き先より別の都市に興味がある」と返すと、広告がその場で別のツアーを提案できる。広告で注目を集めた後、ユーザーはその場を離れずにやり取りを続けられ、広告がユーザーの課題を解決する存在に近づく。欧州の旅行クライアント向けに既に展開しているという。

広告主への示唆

 会話型広告をはじめとするAI上の広告に向き合ううえで、説明会の内容からは広告主にとって3つの示唆が読み取れる。

 1つ目は、「表示されたら終わり」ではなく「問い返されたら答える」準備だ。会話型広告では、ユーザーの追加の質問に広告が応じることになる。応答の質を左右するのは、商品の仕様、在庫、価格、どんな商品と一緒に買われているかといったデータだ。

 同氏は、商品カタログの情報は不完全だったり誤っていたりすることが多く、そのままでは大規模なエージェンティックコマースの土台にならないと指摘し、AIが読み取れる形に商品・ブランド情報を整えるよう呼びかけた。

商品データを「マーケティングデータ」に。誤情報や欠落した商品属性を補完したBEFORE/AFTERと、人気度や購入者プロフィールなどのコマースインテリジェンスの例
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 2つ目は、対話の先にある「着地」までの設計だ。新たな商品との出会いを求める消費者にとって、会話型広告は発見への期待に応えやすいフォーマットといえる。ただし、最終判断は自分で行いたいという消費者が多く、関心を高めたユーザーはECサイトや店舗で確かめてから買う。AI経由の訪問が商品詳細ページに直接着地することを踏まえると、対話の中身だけでなく、着地先での関連商品の提案やまとめ買いを促す仕掛けまで、ひと続きで考える必要がある。

 3つ目は、測定の物差しを先に決めておくことだ。同氏は、AI広告では中間ファネルと下位ファネルのどちらを狙うのか、CPA・CPC・ROASのどれで評価するのかが定まっておらず、広告主が投資を判断しにくい状況にあると説明した。

 同氏が勧めるのは、まずAI経由の自然流入の基準値を把握し、次に広告による増分効果を検証し、そのうえで投資を広げる、という段階的な進め方だ。新しいフォーマットに飛びつく前に、何をもって成果とするかをパートナーと決めておくことが、投資を広げる前提になる。

AI広告の拡大に効果測定が追いついていない。ベースライン、増分効果、規模の拡大の3ステップと、マーケティングプロセスが十分に成熟していないと回答したCMOの割合70%
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 同氏は最後に「目に留まらなければ検討もされない。選ばれるのは、インテリジェンスに裏打ちされた関連性の高い広告だ」と述べ、説明を締めくくった。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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