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本気で活用したい人へ!ゼロからわかるアクセス解析導入・運用完全ガイド

いよいよ導入開始!ゴールを分解して考える要件定義
【リクルートのアクセス解析担当者が明かすノウハウ】


優先順位をつけるために必要な観点

 こうやって、項目を分析し、その効果を把握するために「計測するべき項目」の洗い出しができたかと思います。全部行っていくともしかしたら100項目以上になるかもしれません。そこで、項目の洗い出しを行った後、あるいは行っている最中に「優先順位をつけていく」ことも可能であれば同時に行ってしまいましょう。

 優先順位のつけ方は、以下の観点を元に行う事を推奨します。

サイトゴールとの関連性の強さ

 「風が吹けば桶屋が儲かる」のことわざにあるとおり、サイトにある各要素には必ずサイトのゴールへの影響があります。しかし、その要素が「風が吹けば」の部分なのか、桶屋が儲かる直前の「ネズミが桶をかじって穴をあけると」なのかで優先順位は変わってくるはずです。風をいっぱい吹かせるより、ネズミの数を増やす方が儲かるかもしれません。サイトゴールからの遷移数をもとに優先順位を考えてみましょう。

影響の大きさ

 同じ2倍でも、100PVを200PVにする事には意味があるかもしれませんが、1PVを2PVにしても意味がありません。項目を課題した時に影響が多いと思われる部分(=より多くの来訪者が目に触れるところ)をまずは優先しましょう。上記のサイトゴールとの関連性とも似ていますが、必ずしも一致しません。

変更の容易さ(時間およびコストの観点から)

 ここでは影響は忘れ、「変えやすい/変えにくい」という観点で優先順位をつけましょう。

 例えば「売れている特定の商品ジャンルや数を増やす」などです。これは業態によっては難易度が変わってくるかと思います。「流入施策のコスト配分を変える」などはもしかしたらやりやすいかもしれません。「カートの仕組みを変える」などはかなり難易度高そうです…。

 と、このような感じで見ていきます。すぐに直そうと思っても改善できない部分は一端後回しにしましょう。

PDCAを早く回すことを意識しよう

 アクセス解析を有効に使うためには、まずは「影響が大きいところをすぐに変えて、その結果を試してみる」事が大切です。

 PDCAという言い方がマーケティング業界ではよく使われます。PLAN・DO・CHECK・ACTIONの4つですが、このサイクルをとにかく早く回すことが大切です。そのためには「PLAN」が不十分でもよいですし、「ACTION」もすぐに行える物を選びましょう。

 今までPとDだけで終わってしまっている事例を多く見てきました。その理由はいくつかあり「PLANした事をちゃんとCHECK」できなかったとか「ACTIONしようと思ったらコストの都合上できなかった」とか「それぞれのプロセスの間で担当が違い、うまく情報共有ができていない」などがあります。

 こういった問題を解決するためにも、手をいれやすい部分や影響が大きい部分の優先順位をあげるのです。ぶっちゃけサイトの更新がしやすいという理由だけで、優先順位をあげてしまうのも、ありです。

 なお、今回紹介した要件定義の手法は、因数分解の仕方がポイントとなるため、アクセス解析経験者向けの方法かもしれません。また、既に他のツールを使っている、ある程度課題を把握している場合には、この手法はもしかしたら冗長かもしれません。

  要件定義はアクセス解析の導入に置いてつまづきやすいポイントで、場合によっては難易度が高い部分でもあります。今回は自分が使う手法を紹介しましたが、様々な手法があります。

 それぞれの手法に一長一短ありますが、他のサイトを参考にしてみたり、他の人に聞いたり、セミナー・本・ネットなどで勉強したりして、使えそうな内容あるいはしっくりくる手法を選ぶのが一番良いかなと思っています。

 このトピックだけで連載が書けそうですが、本連載では要件定義に関しては、これ以上深く触れません。

 最後にオフラインにゴールがある場合のポイントなんぞを紹介して、今回はここまでとさせてください。

オフラインでのコンバージョンに関して
  • オフラインでのコンバージョン等、最終ゴールがサイト上に無い場合があります。この場合は2つの手法が考えられます。1つは、いったんオンラインでの最終成果ページを最大化する事をゴールとする方法(難易度低)。もう1つは、オフラインとオンラインを繋げるための手法を考え、オフラインのコンバージョンをゴールとし、それを取得できるような設計を行う方法(難易度高)。
  • 後者の方法は難易度が高いため、まずはオンラインだけの世界で完結させ、それが可視化し、改善のポイントが見えてくる状態にしましょう。
  • オフラインとオンラインを繋げる値として使えそうなのが「メールアドレス」「会員番号」「注文番号」「名前」「二次元バーコード」などです。こういった仕組みはアクセス解析側では提供してくれませんので、自分達で用意をする必要があります。
  • またオンラインとオフラインデータの紐づけを行うためのインターフェースも必要となります。機能が豊富なアクセス解析サービスでは、オフラインのデータ(会員属性・売上情報)などを取り込むことが出来たり、ローデータを落とすことが出来るので、それを会社側で用意したBIツールのような仕組みで連携・分析する事も可能です。コストとスキルの両方が必要な難易度が高い作業ですが、実現出来れば新たな最適化や売上の最大化が実現出来るようになるでしょう。

 今回はここまでです。次回は導入プロセスの2つ目のステップである「タグ設計」になります。タグ設計のポイントを紹介していきます。次回は8月25日 11:00の公開です。お楽しみに!

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この記事の著者

小川 卓(オガワ タク)

ウェブアナリストとして、マイクロソフト、ウェブマネー、リクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンで勤務。2015年にフリーランスとなり、UNCOVER TRUTHのCAO(Chief Analytics Officer)に就任。フリーランスでは、コンサルティング、勉強会、執筆などで活躍している。主な著書は『...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/09/01 10:34 https://markezine.jp/article/detail/7989

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