顧客とのコミュニケーションを高めるメールのフレームワーク
次に椎葉氏は、メールコミュニケーションのフレームワークについて説明。これは、“ベース”“スポット”“フォロー”の3つに分けて考えると整理しやすく、各施策を組み合わせ行く必要があるとした。
- ベースプログラム
- スポットプログラム
- フォロープログラム
安心感・信頼感を与えることを目的に、長期的に顧客との関係を築いていくためのもの。そのため、企業側の視点だけではなく、顧客の欲しがっている情報を提供する必要がある。
商品・サービスのプロモーションを目的とするもの。各商品・サービスに興味のあるユーザーをどのように抽出するかがポイント。
満足度向上、クロスセリング、アップセリングを目的に、新規登録のタイミングやその数日後、購入した商品が無くなる頃などに送るもの。
ベースとスポットの使い分けの例として挙げられたのは、ファッション誌『VOGUE NIPPON』が配信するメールマガジン。ベースメールは毎週2回、Webサイトの更新情報を中心に定型フォーマットで配信している。椎葉氏は、VOGUEのメールについて「ユーザーにとっては、欲しい情報がベースメールで日々送られてくる中で、たまにクリエイティブの異なるスポットのメールが混ざっているので、『今回はどうしたんだろう?』と注目を集めます。こうした組み合わせが重要で、単にスポットのメールだけを送っているのでは、宣伝ばかりになってしまい効果は低くなります。VOGUEさんは、もともと雑誌を作っているので、そのノウハウみたいなものが生きていると思います。記事と広告をうまく組み合わせて作っているので、雑誌社のメールマガジンは参考になります」と補足した。
続いて紹介したのは、人材コンサルティング会社のワイキューブのケース。代表取締役が、『千円札は拾うな。』などの著書で知られる安田佳生氏であるため、Webサイトへのアクセスはかなりある状況だったが、サイトに来た人との接点をさらに増やすべく、アルトビジョンでメールマーケティング施策をサポートした。
ここで椎葉氏は、先に挙げた“ベース”“スポット”“フォロー”に触れながら、「メールマーケティングの基本的な役割は見込み客を作る事ではなく、見込み客を顧客化することだ」と強調。サイトを訪れる人は、既に興味を持ってくれている人たちであり、営業が中心になってアプローチをしていく必要がある。そのためのサポートを行うのが、メールの役割だという。
見込み客を顧客化する具体的なメール活用方としては、短期刈り取り型と長期育成型があるという。まず短期刈り取り型には、セミナーに来てくれた人や資料請求をしてくれた人や、問い合わせに対するフォローメールがあり、それによってもともと関心の高い見込み客の申込率を上げるねらいがある。
だが、熱心な見込み客は一部であることも視野に入れ、長期的に見込み客との関係を築くためにも、ベースプログラムを軸にスポットプログラムを織り交ぜて活用する必要がある。セミナーへの誘導などのスポットプログラムばかりに偏ってしまうと、調子が良すぎると感じられてしまい、逆にスポットプログラムが足りないとアクションしてもらう機会を逃してしまうので、そのバランス、使い分けが重要だとも語った。