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デザインとプログラムのシームレスな連携が実現する
モンスター・ラボの「デザインテクノロジスト」の仕事とは?

 ネット業界の仕事といっても、どんなものなのか、何ができるのか、なかなか外部の人間にはわかりにくいもの。そこで、今をときめく「あの会社」で生き生きと働くキーマンを「職種」にクローズアップしてご紹介いたします。第17回は、インディーズアーティストの音楽配信サービス「モンスターFM」で知られるモンスター・ラボで、デザインテクノロジストとして活躍中の羽柴泰亨氏の仕事についてうかがいます。【バックナンバーはこちら】

ミッション:Webサービスの付加価値を向上させるリッチコンテンツを創出

 随時1万曲以上ものインディーズアーティストの楽曲が提供される音楽配信サイト「モンスターFM」を運営する株式会社モンスター・ラボ。「モンスターFM」を軸に、契約アーティストの楽曲の二次使用を行うBtoB事業を行なうなど、多彩な自社サービスを展開するだけでなく、その創造性溢れる技術力を基盤に、多くの企業のWeb戦略の立案からRIA(リッチインターネットアプリケーション)の開発提供までを幅広く手がけている。

 今回登場いただく羽柴泰亨さんは、まさにその中核でサービス提供に携わる「デザインテクノロジスト」の一人。Flash、AIR、Ajax等などを駆使し、デザインとテクノロジーの融合によるモノづくりで、社内外における様々なネットビジネスに多彩な価値を提供している。

 「Webビジネスにおいて表現のリッチさが求められるようになり、表面的なデザインとそれを実現するテクノロジーの密接な連携が求められるようになってきています。もちろんプログラミングによってデザインできる世界が広がり、リッチな表現が可能になったからとも考えられるのですが。どちらにしても、Webで表面的なデザインだけを担当するだけでは、スピードもクオリティも追いついていかない時代になってきているのでしょう。事実、私自身もこの世界に入った当初はデザインだけだったのですが、実際に仕事をする中で必然的にプログラミングをやるようになっていました」

 現在は、ユーザーの投稿した写真をアルバム化するというサービス構築を担当し、現在ようやく設計が完了したところだという。

 「ユーザーから投稿された写真を、Flashのインタフェイス上で印刷用のデータに変換し、実際に紙のアルバムとして提供するというサービスなのですが、むしろFlashで生成した印刷用データの画質を上げるのが難しくて苦労しましたね。何度も紙に印刷しては調整し、デジタルの仕事なのにどれだけ紙を消費したことか」

 クライアントが印刷会社という印刷のクオリティにこだわる相手であること、そしてユーザーが老若男女を問わずWebのリテラシーにばらつきがあることなど、そうしたことを加味しながら、それに応えるべく様々な工夫をこらした。

 「実は、どんなものを作るのかという仕様決めが一番のキモなんですよね。文書や図版を用いて出来上がりのイメージに齟齬が生まれないように工夫をしているのですが、はじめのころはなかなか『お客さんが本当に作ってほしいもの』というのがつかめないことがありました」

 言葉や文書にならない“含み”のようなものをキャッチするのが難しく、後から追加変更される仕様に『はじめにいってほしかったなあ』と思うこともしばしばあった。

 「でも、『漏れさせない責任』はこちらにある、そう考えるようになったら、かなりスムーズに進むようになりましたね。というのも、決して自分が完璧に意図を汲み取れる自信などないわけで。だから、『一緒につくっている』とお客様にも感じてもらえるように工夫したんです」

 たとえば、アイディアのキャッチボールを頻繁にする、こまめな確認を行なって出来上がりイメージのわずかなずれを随時是正していく。自分たちがどう思うかではなく、実際のユーザーがどう感じるかを第三者的に分析する。そうした積み重ねが、最終的に満足度の高いサービス構築につながったという。

 「今の課題は、仕様が実現したときの効果と、実装する上でのコストのバランスをお客様にどうご理解いただくか、ですね。見え方をリッチにすればコストもかかるけれど、シンプルなデザインにコストがかかっていないわけでもない。総じていえば、出来上がったものの相場感をどうやって持っていただくかということで、なかなか悩ましい問題ですよね」

 こうしたSI事業の案件ほかに、自社サービスに関わることもあるという。たとえば、「モンスターFM」に登録しているインディーズミュージシャンの楽曲を商用に販売するというサービスに新たな機能を搭載していくというプロジェクトにも参加した。

 「まだβ版なのですが、複数のミュージシャンに同一のテーマで曲を作ってもらい、その中から選んでいくというオーディション機能や、オンライン上で決済ができる機能などを追加していく予定です。SI事業の方が立て込んでしまって一時中断してしまっているのですが、今年またプロジェクトとしてスタートさせる予定になっています」

 社外のクライアントのために仕事をするSI案件と、自社サービスのための案件の2足のわらじをその時々に合わせて履き替える。そうしたスタイルがモンスター・ラボでは普通なのだ。

 「社内外のプロジェクト単位で進行するので、いろんな経験ができて楽しいですよ。自社サービスは、好きな音楽に関われる部分ですし、社員全員で少しずつ育てているという実感があるのは楽しいもの。社員それぞれが別々の案件を持っているので、こうした共有できる事業って大切だと思うんですよね。そして、正直、SI案件は自社サービスよりもプレッシャーは大きいのですが、その分やり遂げた時、リリースの時には本当にうれしいですね。どちらにおいても、一緒につくりあげる喜びには得難いものがあります」

 そう語る羽柴さんは、どのように仕事を進めているのだろう。そのスケジュールについてうかがった。(次ページへ続く)

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