3. Web Analytics 2.0の概念を、実際の解析に落とし込む5階層
著者はWeb Analytics 2.0の概念を、実際の解析に落とし込み、アクショナブルな知見を得るための5階層をそれぞれの階層で利用すべきツールの紹介とともに、次のように定義している。(図1参照)

第一階層:What「何が」の層 = 解析するのはクリックストリーム
Webサイトで「何が」起きているのか分かるのがこの層。この層で行われる分析が明らかにするのは、ページビュー、訪問数、訪問者数、ページ遷移、参照元、直帰率、離脱率、ページ滞在時間等、いわゆる従来型のアクセス解析が可視化する指標であり、使われるツールとしては、SiteCatalyst、WebTrends、Coremetrics、Google Analytics等である。
第二階層:How much「どのくらいの量」の層 = 解析するのは複数の成果
Webサイトで、企業の収益に関わる成果が「どのくらいの量」起きているのか分かるのがこの層。例えば、ECサイトであれば、売上金額、注文数、注文あたりの平均売上高。リードジェネレーションサイトであれば、獲得したリードの数。メディアサイトであれば広告クリック数等である。この層で行われる分析も、上記第一階層で説明したようなツールを使って行われている。
第三階層:Why「なぜ」の層 = 解析するのは実験とテストの結果
Webサイトで起きていることの「なぜ」が分かるのがこの層。商品を5%値引きするのと、送料を無料にするのではどちらが収益があがるか?サイト内特集ページに誘導するバナーは赤が良いか、青が良いか、直帰率を下げるランディングページでは、どんな画像とキャプションが最適なのか等、マーケターが机上でいくら考えても分からないことを明らかにしてくれる。使われるツールとしては、Test&Target、Optimost、Google Website Optimizerなど。
第四階層:Why「なぜ」の層 = 解析するのは顧客の声
第三階層の「なぜ」を分かるため、別のアプローチで解析するのがこの層。分からないことは直接サイト訪問者に質問して教えてもらう。アプローチをするのがこの層。例えば「訪問の目的は何か?その訪問の目的は達成できたか?」、「なぜ離脱したのか?」、「なぜこの商品をカートに入れたのに買わなかったのか?」等、訪問者の生の声を定性データとして収集、分析する。代表的な手法はオンラインサーベイ。代表的なツールは4Q、Ethnio、ForeSeeなど。
第五階層:What Else「ほかに何か」の層 = 解析するのは競合他社
自社のWebサイトではなく、競合他社のWebサイトの動向を分析するのがこの層。Kaushik氏は、自社サイト分析結果だけを見ることを、窓を黒く塗りつぶした自動車でメーター類だけを見て運転することに例えている。つまり、自社が時速100キロで走っていることはわかるが、競合他社がどのくらいの速度で走っているか(もしかしたら、140キロかもしれない。)は分からない。競合他社の訪問数、コンバージョンレート、訪問者属性、特定キーワードでの集客の成否などを分析するこの層で使われるツールとしては、Google AdPlanner、Google Trends、Compete、Hitwiseなど。
第一、第二階層が従来型の、既に我々が知っており、実践しているアクセス解析であり、第三階層以降が著者の定義するWeb Analytics 2.0の分野ということができる。