“地域to地域”で手堅く成功を狙うことも可能
ここまでは独自の商品・サービスを持つ企業を例にして考えてみたが、どんなに自社の強みを洗い出そうとしても、差別化が難しいコモディティ寄りの商品・サービスを扱っている企業もある。そんな企業が安易に全国展開を狙った場合、返り討ちに遭うリスクは極めて高い。
水谷氏によると、そういった“地域to全国”で勝算が立ちにくい企業でも、「地域に根ざした企業だからできる」“地域to地域”に焦点を当てることで、リスティング広告を有効活用するケースが増えてきているそうだ。
「品質がほぼ均一化された日用品等で張り合っても仕方ありませんが、どこのお店でも買えるけどメンテナンスが必要な自転車のような商品もあります。そんな商品を扱っているのなら『地元に店があります。対面で話ができるから、修理の時にも安心です』といったメッセージを打ち出すことで全国の競合と差別化できます。昔は地方から全国に出ていくケースが注目を集めていましたが、競争が激化した結果、全国を相手に勝負するには、自分の商品・サービスに強みがないと厳しくなってきました。そんな中で手堅く地元のお客様に対してアプローチすることで、成功する事例が増えてきています」
“地域to地域”で成功した好例としては、株式会社oh庭yaの事例がある。
全国20拠点で植木・庭師のサービスを提供している同社は、スポンサードサーチを導入するまでは、電話帳広告を主に利用。しかし、広告掲載までのタイムラグ、広告内容の変更が困難なこと、繁忙期と閑散期の偏りがコントロールできないといった問題を抱えていた。
そうした問題への解決策としてスポンサードサーチを導入してみたところ、Webからの受注単価は従来と比べて8分の1に。今では新規案件の50%以上がWeb経由になったそうだ(活用事例)。
「自社サイトの運営を成功させるには、自社の強みは何かともう一度見直してもらうことが必要です。ありふれた商品だと思っていたものが、全国で勝負できる商品力を持っていると気付くかもしれない。そこまで行かなくても、地域のお客様にターゲットを絞ることで、地元で培ったブランドをオンラインマーケティングで活かすことができるかもしれない。地域から全国、地域から地域。どちらのシナリオでも、成功の可能性を秘めている企業様は地方にまだたくさん隠れていると思っています」
“釣り堀”と“海” 手間は掛かっても両方の釣りに対応できることが重要に
全国各地でサイト運営をする中小企業の事業主の中には、大手Web企業が運営する情報集約サイトに依存することの危険性を感じている人が増えてきているという。
「情報集約サイトは釣り堀に例えられると思います。確かに、魚がたくさん居て簡単に釣れるように思えるかもしれませんが、釣り師が急に増えて釣れなくなるリスクや、釣り堀の利用料を値上げされるリスクがあります。魚はもともと、海で釣るもの。釣り堀のメリットも捨て難いですが、依存しすぎてハッと気づかされた時に後悔しないよう、自社のサイトでも集客できるように備えておくことが大切です」
しかし、釣り堀では釣り糸を垂らすだけで済むのに対して、海釣りでは釣り堀以上に釣る場所・方法の選択肢は広い。当たりがなければ場所を変えるなど、試行錯誤を繰り返すことが上達のカギだ。Yahoo!リスティング広告も同様に、運用が重要。手間は掛かってもそこを投げ出してしまっては釣果は見込めない。
「そうは言っても中小企業の場合は、社長さんがWeb担当を兼ねていることが多く見受けられます。毎日2時間、運用に時間を割くわけにも行かないと思いますので、クリック・コンバージョンが取れるキーワードだけ毎日見るとか、いっそのこと代理店に任せてしまうとか、何をやって何をやるべきではないかを線引きすることが成功の秘訣です」
海釣りを始めようとする人へのサポートは整えてある。Yahoo!リスティング広告のラーニングポータルには、リスティング広告に関する基礎知識や、さまざまな業種・地域での成功事例などを掲載。平日の9時~18時には電話サポートで技術的な相談に答えている(サポート情報詳細)。
全国から釣り好きが集まる人気のスポットで腕を競うか、確実に釣果が見込める地元の釣り場を極めるか。いずれにせよ、いつまでも海釣りを恐れているわけにはいかない時代になりつつあるのは、明らかだ。
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