前回の記事で、行動ターゲティングメールの“3つの活用パターン”を説明しました。
①ターゲティングの最適化(第1回で紹介)
②メールコンテンツの最適化
③新しいセグメントの発見
①の“ターゲティングの最適化”については、クリック率が数倍まで向上したというANAの事例もご紹介しました。
今回ご紹介する“メールコンテンツの最適化”は、WEB閲覧履歴を基にメルマガのコンテンツを各ユーザーにマッチした情報に差し替えてパーソナライズし、クリック率やコンバージョン率の最大化を図る手法です。
“ターゲティングの最適化”では特定コンテンツの配信先をどう絞り込むかが問題でしたが、“メールコンテンツの最適化”の場合は配信先が既に決まっているという前提です。
既定の配信対象者に対して、最大の効果が得られるようにコンテンツを最適化することになります。
これまでも、アンケートで事前取得した性別・年齢などの属性情報や興味・関心、さらに購買履歴やコンタクト履歴(オンラインでのお客様とのやり取りを商談履歴)といった静的なデータを基にしたコンテンツ最適化は行われてきました。しかし、ユーザーの興味・関心は時間の経過とともに変化します。ある一時点における静的データに頼る限り、その効果は限定的なものにとどまります。
一方、WEB閲覧履歴に基づく行動ターゲティングメールなら、ユーザーの“今現在”のステータスや興味・関心をコンテンツの訴求内容に活かすことが可能になります。
特に、興味・関心の対象が変化しやすく過去の購買履歴などが参考になりにくい嗜好性の強い商材などで大きな効果を期待することができます。
事例:ロゼッタストーンのフォローメール
WEB閲覧履歴を基に購入のキーとなるコンテンツを訴求
ここで、メールコンテンツ最適化の具体的な事例として、弊社で行動ターゲティングメールのお手伝いをしているロゼッタストーン・ジャパン様(以下ロゼッタストーン)の事例を紹介します。
ロゼッタストーンは、独自のメソッドによる実用外国語コミュニケーションソフトを販売しています。商品はオンラインストアで購入可能で、購入前にサイト上で学習プログラムを無料体験できる“オンラインデモ”を提供しています。
オンラインデモを利用するにはメールアドレスの登録が必要で、このアドレス登録者に対して商品購入を訴求するフォローメールが配信されます。
このフォローメールは元々はシンプルな自動応答メールでしたが、そこに行動ターゲティングの手法を取り入れることでユーザーのステータスに応じた最適なメールコミュニケーションを実現し、メール効果の向上を図るというトライアルを実施しました。
実施概要
アクセス解析の結果から購入を後押しするキーとなっているWEBコンテンツを特定。
その結果、下記2種類のコンテンツ閲覧が購入の決め手になることが判明。
①オンラインデモ(無料体験)
②カスタマーレビュー
まず、ユーザーごとに①オンラインデモと②カスタマーレビューを閲覧したかを分析し、2つのコンテンツの閲覧状況からユーザーを4つの購入検討ステータス(※表を参照)に分類。それぞれのステータスに応じたメールを配信。
実施概念図
コンテンツパターン表
この事例のポイントは、WEBの閲覧履歴を基に未閲覧のWEBコンテンツを訴求した点です。コンテンツパターン表のように、閲覧状況に応じて4パターンのメールが用意されました。
それぞれのメールが、2種類のWEBコンテンツのうちまだ閲覧されていないものを訴求する内容になっています。
つまり、ユーザーごとにまだ体験していないコンテンツを提示しメールの内容をパーソナライズすることで、メールの効果を向上させようと狙ったわけです。
その結果、メールのクリック率で20%増、メール効果(売上ベース)も12%増となりました。
この結果から、ユーザーのステータスに合わせた最適なコンテンツを訴求することの有効性がうかがえます。
なお、現在ロゼッタストーンでは、今回の結果を受けてさらにメールパターンを32パターンに細分化したトライアルを実施し、さらなるメールレスポンスの向上を目指しています。