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短期集中コラム iPadマーケティング最前線

薬学博士マーケターが挑んだ、BtoB企業初のiPadマーケティング
初めてのトリプルメディア戦略構築の舞台裏


協和発酵キリンがトリプルメディア戦略に取り組んだワケ

 ソーシャルメディアを組み入れるとなると、それなりのリスクもあります。ちょっとした行き違いから炎上してしまい、良好な関係を築けなくなってしまうケースもあります。社内にも、このようなリスクに対する指摘や、「あまりに新しすぎて効果が予測できない」といった意見もありました。しかし、リスクについていえば、考えられるリスクを全て挙げてみると、いずれも対処する方法があることがわかりました。

 一方、効果については、ソーシャルメディアを積極的に活用している企業の方が、活用していない企業よりも成長しているという米国のレポートがあります。既に取り組んでいる企業の広報の方の話を伺ってみると、十分な効果を感じておられました。

 協和発酵キリンは画期的な新薬の研究開発を事業の根幹に置いていて、新たな創薬技術を積極的に取り入れています。コミュニケーションにおいても、新しい手法を取り入れることで、先進性や躍動感を伝えることができると考え、社内を説得し、背水の陣で(笑)新しい戦略に挑戦する体制を整えました。

 ところが、もう1つ関門がありました。当社のPC環境ではTwitterやYouTubeが閲覧不可の設定になっているのです。ソーシャルメディアの話をしても、接したことのない社員が少なくありませんでした。そこでまずは理解してもらうために、複数回に渡り部内勉強会を開催しました。パートナーである代理店にも協力を仰ぎ、ソーシャルメディアやデジタルデバイスを1から説明し、その効果やリスクをしっかりと伝えていきました。そして、部内でも「新しいことにチャレンジする」という風土を創っていきました。

 以上のような仕込みを経てコミュニケーション戦略として掲げたのが、クロスメディアの1つの形、現在マーケティング業界で提唱されているトリプルメディア戦略です。サードパーティメディア(=マスメディア)、ソーシャルメディア、オウンドメディア(=自社メディア)の組み合わせにより、生活者の接触機会を創出し、認知率を向上させるという試みです。現時点では、製薬企業としてはもちろん、BtoB企業としても珍しい試みだと思っています。

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トリプルメディア戦略の中心は魅力あるコンテンツ

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この記事の著者

長谷川 一英 (薬学博士)(ハセガワ カズヒデ)

1990年、東京大学大学院生命薬学専攻博士課程修了。同年、協和発酵工業に入社。東京研究所に配属、動脈硬化治療薬の探索研究に携わる。2000年、米国スタンフォード大学に留学し、臓器移植の研究に従事。帰国後は、医薬総合研究所で薬の作用メカニズムの分子レベルでの解析を行う。
14年間の研究開発の後、経営企画室主査を経て、2...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/09/15 14:10 https://markezine.jp/article/detail/11419

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