経済誌「エコノミスト」の調査部門Economist Intelligence Unit(EIU)は、世界各国の技術革新度に関する調査結果を5月14日に発表。日本は調査対象国82カ国の中で最も技術革新の進んだ国として1位となり、それにスイス、米国、スウェーデンが続いた。
同調査は、各国の人口100万人あたりの特許件数と、科学技術雑誌からの引用、総輸出入におけるハイテク製品の割合、新しいテクノロジーに対する企業の取り組みに対する評価という3つの指標をあわせて分析し、ランキング化したもの。参考までに、EIUが評価基準としている特許件数について、世界知的所有権機構(WIPO)が今年2月に発表した2006年の国別の特許出願件数を見てみよう。(太字はEIUが発表した上位4カ国。カッコ内の数字は出願件数)
1位 米国 (49,555)
2位 日本 (26,906)
3位 ドイツ (16,929)
4位 韓国 (5,935)
5位 フランス (5,902)
6位 イギリス (5,045)
7位 オランダ (4,393)
8位 中国 (3,910)
9位 スイス (3,403)
10位 スウェーデン (3,123)
特許件数では9位のスイスがEIUの技術革新度ランキングで2位に浮上しているのは、EIUが指標としている「100万人当たりの特許件数」というのが大きいだろう。上位4カ国の人口を見ると、日本は1億2,700万人、スイスは736万人、アメリカは2億8,000万人、スウェーデンは912万人と、大きな開きがある。(人口データの出典は各国大使館と外務省のホームページ)
今回発表されたEIUのレポートは、技術革新の最も大きな要因として「労働者の技術的なスキル」と「IT・通信基盤の品質」の2つを挙げている。先日お伝えしたガートナー ジャパンが発表した「国別IT投資マインド・ランキング」では、調査対象国中最下位となった日本。今回の「技術革新度ランキング」はIT分野に限定したものではないため安易に関連づけることはできないが、高い技術力とインフラを持ちながら、戦略的な情報資源への投資に確信が持てない、日本のビジネススタイルが透けて見えるようだ。
また、ランキングと共に発表された2007~2011年の予測では、トップの4カ国は変わらないが、中国が59位から54位に、メキシコは45位から39位に順位を上げる。中国は研究開発費として日本を上回る1,360億ドルを歳出しており、これらの中所得国が先進国を追い上げることは必至。また、同レポートは技術革新は小国にもアドバンテージがあるとして、ランキングのトップ25カ国のうち、12カ国は人口が1,000万人に満たないことを指摘している。
プレスリリース:
"Japan is the world’s most innovative country, study finds"(EIU)
"Record Year for International Patent Filings with Significant Growth from Northeast Asia"(WIPO)