これからの世の中はケータイから立ち上がる
さて、後半に登場したのはインドネシアのカリマンタン島に存在するトイレだった。
川の中に設置されたそのトイレのすぐそばに洗濯場があり、住人はこの水を汲んで沸かして飲んでいるという。しかし、この住人たちはパラボナアンテナを設置し、テレビを持ち、DVDを見て、少女は携帯電話片手にメールを送るのだ。小林氏はこうした現状を押さえたうえで、「パソコンよりも携帯電話の普及が鍵を握る」と見る。


世界の携帯電話人口は40億人まで拡大してきており、携帯を通して全世界がつながり始めた。彼らとつながることで、リアルタイムの情報交換も実現する。ケータイユーザーの裾野は驚くほど広く、これからの世の中はケータイから立ち上がろうとしているのだ。


一方、もうひとつのキーワードとして「社会貢献」を挙げている。消費者は多少値段が高くても社会貢献を意識した購買を求めていることがわかってきた。野村総合研究所でアンケートを実施した際、75%の人々が社会貢献に関心を持って製品サービスを選ぶ実態が明らかになったという。また、個人の寄付金も今後増加傾向に向かうという。つまり、人々のお金の使い方の方向性が変わり始めている。
こうした状況下、まさにソーシャルメディアはこうした人たちに強い欲求を与える必要がある。こういう要素を取り込んだ機能をICTが担うことで、企業も売り上げが伸び、消費者にも利点があり、新興国にも良いことがありと、世の中がぐるぐる良い方向に流れ始める。
ソーシャルメディアの役割として、いかにボランタリーWebユーザーにやりたくて仕方ないような動機づけを与えることができるか。こうした機能をメディアが担うことで、企業と消費者をエンパワーしていく。これに対して、世界中の人々がネットワークを通してつながり始めている。こうした人たちからのパワーを巻き込む方法を見出していくことで、効果的なマーケティングがさらに厚みを増していく。