Twitter/Facebook利用を成功させるため、最大の障壁となるものは?
一方、斉藤氏は企業がソーシャルメディアマーケティングを成功に導きたいのなら、最大の障壁になるのは顧客との接点が少ない社内の管理職だと指摘。従来型の企業組織のまま、管理職が上から目線で顧客への対応について指示しているようでは、炎上する可能性が極めて高いと分析している。
「ソーシャルメディア上では、今までとまったく違うお客様との接し方が求められています。求められているのは人間と人間の対等な関係。僕たちの年代、40~50歳代はずっと行き過ぎた資本主義社会を経験してきましたから、上から目線に慣れてしまっています。企業にとって都合の良い情報だけを提供しようとし、本来行うべき情報発信を避けてしまう人が管理職には居る。そういう人がかかわってしまうと、直ちに炎上してしまいます」
王のジレンマならぬ企業のジレンマ。目指すのは“オープンリーダーシップ”
現在の状況は、印刷機が登場した時に王が抱えていたジレンマと似ていると斉藤氏は語る。印刷機の登場で本が普及し、市民が本を読んで考え、意見を述べるようになった。啓発された市民は抑制的な手法で統治することは困難。進歩的な考え方を持たなくては、王がその座を追われることにもなりかねない。
現在起こっているソーシャルメディアの普及もそれと同じ。考え方を180度切り替えて、企業が上から目線で顧客をコントロールしようという考えは捨てることが大切だという。机上で考えた通りにバズを展開するということはできないので、現実を直視することから始めなくてはいけないと斉藤氏は話している。
「“オープンリーダーシップ”とも言われていますが、今までのコントロール思考を手放しましょう。その代わり、“愛される”ことによってお客様の力を借りながらマーケティング展開していくという発想に切り替えないといけません。
今までマネジメントに対しては、マクレガーの『XY理論』でいうところのX理論、性悪説に立った権限行使と命令統制を旨とするマネジメントと、性善説に立って自主性に委ねるY理論が、ケースバイケースで使い分けられてきました。それがどんどんX理論が通用しない世の中になってきているわけです。
マネジメントだけの話ではなくて、企業文化自体もコントロール思考とは無縁の文化にしていかないといけません。外に向けて“顧客第一”と言いながら、中に対しては予算のことばかり言っている。もう、そんな時代ではありません。根本から企業文化を直さなくてはいけない企業も多いはずです」
世界的に行き過ぎた効率性や利益重視の企業文化を見直す時期が来たのかもしれない。ビジネスというものは、そもそも社会に貢献するためにできたもの。見返りとして自然と売上と利益が付いてくる。そんなビジネスの原点に立ち返る必要があるのではないか――。それこそが斉藤氏の考える「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むためにもっとも大切なこと」なのだ。
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