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顧客満足向上でさらなるサイト成長を目指す!~ECサイト顧客マネジメント戦略

顧客ランク向上のための提供サービスアイデア集
― ECサイト顧客マネジメント戦略第4回

 顧客ランクに応じて適切なサービスを提供していくというのが、顧客マネジメントの考え方である。しかし、サービスと一口に言っても様々なものがある。そこで今回は、顧客ランクに応じてどのようにサービスを提供し分ければいいのか、具体的なアイデアを基本的なものから応用的なものまで全部で19個用意した。使いわけの参考にしながら自社に最適なサービスを見つけて、実践してみてほしい。(バックナンバーはこちら)

ECサイト成長のカギは感動を提供するためのサービス

 ECサイトで提供できるサービスには、送料無料、当日発送・お届け、商品の返品・交換、ポイント付与・交換、クーポン、商品代金割引、ラッピング・のし対応、商品によっては名入れ、複数の決済手段提供、手書きの手紙を同封など、様々なものがある。

 これらの提供サービスは、他社ではなく、自社で継続して商品を購入してもらうための買い物体験の提供でもある。ネットショッピングという顔の見えない、商品を手にとって見ることのできない商取引において、いかに買い物体験を通じて感動を顧客に提供できるかが鍵となる。

 本来であれば、全ての顧客に対して同じように一律にサービスを提供する事が望ましい。しかし、これらのサービス提供には、常に何かしらの制約(人的リソースの限界、時間的な限界、費用)が発生してしまう。また一方で、優良顧客からするとご贔屓にしているのにも関わらず、一見さんと同じ接客をされた(同じ内容のサービスを提供)場合、お店からあまり大事にされていないと感じる事もあるだろう。そこで、顧客ランクに応じて顧客を区別し、サービスを提供していくというのが顧客マネジメントの考え方である。

 今回は、連載第1回で準備した「EC用顧客マネジメント戦略策定サポート表」をもとに、顧客ランクに応じた具体的なサービス例を考えていきたい。「EC用顧客マネジメント戦略策定サポート表」の詳細に関しては、同記事を参照してほしい。Excel形式のファイルも同記事からダウンロードできる。

EC用顧客マネジメント戦略策定サポート表(赤枠部分は後述)
EC用顧客マネジメント戦略策定サポート表(赤枠部分は後述)

方針

 サービス例を考えるにあたり、下記のような3つの方針を設定した。

  • 方針1. 既存顧客への対応を厚くし離脱を極力防ぐ
  • 方針2. 引き上げ顧客数を最大化する
  • 方針3. 新規顧客数を最大化する

 この方針に基づき、顧客ランクごとのサービス例を、順に紹介していく。なお、記載した全てのサービスを提供するということではなく、自社のリソースを鑑みて、最適な施策を探すアイデアのタネにしていただきたい。

既存顧客への対応を厚くして離脱を極力防ぐためのサービス例(方針1)

 「方針1」は、サポート表でいえばo~vの部分にあたる。

「方針1」の範囲(※EC用顧客マネジメント戦略策定サポート表から該当部分のみ抜粋)
「方針1」の範囲(※EC用顧客マネジメント戦略策定サポート表から該当部分のみ抜粋)

優良顧客向けサービス例

 まず、売上貢献度が高い「優良顧客」に向けてのサービス例(v)を提示していく。施策の優先順位は最も高い。

ポイントを付与している場合は、ポイント還元率アップ

 他ランクの顧客よりもポイント付与率を高く設定する。

優良顧客向け割引価格の設定

 優良顧客だけに他ランクの顧客よりも安い割引価格を設定する。

新商品先行販売

 新商品を発売する場合、まずは優良顧客に優先的に案内、販売する。また、発表会やイベントに招待する。

顧客の誕生日に商品と手書きのメッセージをプレゼントとして贈る

 ユーザーの購入履歴から普段よく購入している商品を特定し、サプライズプレゼントとして贈る。基本的にユーザーがもらって嬉しいものを贈ると効果的である。

優良顧客専用サポートデスク設置

 優良顧客のみに専用のサポートデスク(専用電話番号、チャット等)を設置し、商品含め通販に関する様々なお問い合わせを受ける。コンシェルジュサービス。

各種手数料・送料の無料化

 選択した決済手段によってかかる各種手数料(代金引換手数料・銀行振込手数料)や配送料が有料の場合は、無料とする。

当日発送、当日お届け対応

 優良顧客からの注文に対しては、優先的に発送処理を実施する。また、優遇対応として当日お届けが選択できたり、配送業者の選択ができたりと顧客の都合や事情に合わせるようにするとなお良い。

体験ツアーご招待

 商品生産工場や生産農場などを訪れるツアーを優良顧客向けに提供。

デジタルインセンティブ配布

 日頃の感謝を込めて、CM着メロ、風景写真、壁紙といったデジタルインセンティブを配布する。

定期顧客とリピート顧客に向けたサービス例

 次に、優良顧客予備軍となる「定期顧客(t)」と「リピート顧客(q)」に向けてのサービス例である。なお、基本的には優良顧客に対して提供するサービスを、これらの顧客ランクユーザーにも提供していく事になる。ただし、優良顧客と区別するために提供するサービスは限定する必要がある。

定期顧客やリピート顧客を優良顧客に引き上げる
定期顧客やリピート顧客を優良顧客に引き上げる
定期割引価格の設定

 定期申し込みを提供している場合は、定期割引価格を設定する。別途、優良顧客向け割引価格を設定している場合は、定期顧客が優良顧客にランクアップされたら、さらに優良顧客向け定期割引価格を設定する。リピート顧客から優良顧客へランクアップさせるためにも有効である。この“優良顧客かつ定期申込み”ユーザーが、ECサイトにおいて最も売上貢献度が高いユーザーとなる。

購入金額による割引価格の設定

 まとめ買いをする顧客を対象に、購入金額に応じた割引価格を設定する。

ポイント付与・交換

 リピート購入を促すために、購入金額に応じてポイントを付与する。優良顧客向けのポイント還元率を最高にし、一定期間中の本品購入金額の合計額に応じてポイント還元率をステップアップで上げていくようなポイントプログラムにすると、リピート購入が期待できる。さらに、貯めたポイントで商品を購入できるようにすると、より一層リピート購入率が上がるだろう。なお、“貯めたポイントを他社のポイントに交換できる”という仕組みは顧客視点でみると嬉しいサービスだと思われるが、自社囲い込みの視点ではあまりオススメできない。

 これらのサービスは、それぞれの顧客ランクを維持するためのサービスとなっている。顧客ランクをアップさせていくためには、こうした優遇対応があるということを、できる限りユーザーに告知しておく事が望ましい(サプライズ系の提供サービスは除く)。また、あとどれくらいの購入金額でランクアップするかを、顧客自ら確認できるようにしておく事で継続的な購入を促すことができるだろう。

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この記事の著者

工藤 暢久(クドウ ノブヒサ)

1976年 愛媛県生まれ

Q Inc.(株式会社 久) 代表取締役

大手企業を中心に各種Webマーケティングのプロデュース・プランニング業務に従事後、現在は、ECプロデューサー・ECコンサルタントとして消費者視点・消費者行動に即した、ECサイト構築/運営支援を行なっています。

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2011/09/02 11:00 https://markezine.jp/article/detail/14184

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