なんとか連動を考えてみる
嘆いていても仕方ないので、ここでは現実的な連動のさせ方を考えてみましょう。筆者は、DRMには二つのアプローチがあるということを再三書いてきました。
- ユーザーデータベースがある場合
ユーザーの志向性が明確なので、あらかじめそれに合わせて施策(例えばDMなど)が打てます。CRMやDBMとの違いは申し込み手段を持っているかいないかだけ。この場合は、既存ユーザー(顧客)にコミュニティ機能を提供し、そこでBuzz(うわさ、風聞)を作っていく手法が一般的です。 - ユーザーデータベースがない場合 問題はこちら。ある意味、DRMでモノを購入するということは、その場でAISAS(注1)の「AISA」までを瞬時に行わせることになるわけで、考えてみれば、これは相当ヘビーな作業だと思われます。
そこでCGMMの出番です。この場合、CGMMには二つの役割があると思ってください。
- 市場を温める(活性化させる)
- 売れる商品、またはトレンドの方向性を探る
ただし、1で一般消費者(Consumer)向けとなりますと、市場が広すぎて温めなければならないフィールドが膨大です。そう考えると、Consumerに良い意味でバイアスがかかっていた方が、「AIS」までをショートカットできるかもしれません。理論的には、データベースにフィールドを示すデータ(職業、住所、収入、趣味…)があれば、DMなどを打つ前にその分野にBuzzを流しておけばよいので、購入に一定の志向性を与えることは比較的容易なはずです。
さて、問題は2です。
この場合、CGMMはある意味でマーケティングリサーチのツールとして割り切って使われなくてはなりません。市場の消費傾向データから、消費者の生の声を集めて…というニーズは今までにも数多くあり、当然そのための専門調査会社もありました。今日では、それをグループインタビューや街頭調査からではなく、実際にWebで流布している声をリアルタイムで集め、分析するという手段に変わってきたということなのです。
ただし、そうなるとCGMMの根幹をなすコミュニティを、その志向性によってある程度グルーピングし、常に関係を保っておく必要が生じてきます。一企業にそんなことができる能力があれば無理にDRMをやる必要もないわけで、当然、外部のエージェンシーを使わなければなりません。実際、そのようなサービスをしている調査会社も出てきていますが、現状では、ROI的にあまりリーズナブルとは言えないレベルのように思います。
