結論:CGMMの本来の姿と結び付けていこう
すでにお気づきだと思うのですが、筆者はここまで、主にCGMMの基本をコミュニティに置いてきました。しかし、現在のCGMMおよびWOMのベースはコミュニティではなく、あくまでアルファブロガーをはじめとしたインフルエンサーの確保なのです。つまり、アルファブロガーたちは、単なるミニコミュニティのリーダーから、業界によってはその全体に影響を与える存在にまで高まってしまったことになります。
そのお陰もあって、アルファブロガーの文化人化が日に日に強まってきていますし、マーケターはマーケターで、ブログを完全にひとつのメディアとして捉えており、指標化/体系分類化作業を進めているのが現状です。ブログそのものも、従来のPage Viewなどの基礎数値だけでなく、媒体価値をシビアに計測し、組織化しようとしています。アルファブロガーをイベントに招待したり、会食しながら意見を聞いたり、お金を払って記事を書いてもらうケースも出てきています。じっと話題になるのを待つだけでは、もう時代に追いつけないと言わんばかりです(筆者としては、こういった傾向が進めば進むほど、個人の表現メディアとしてのブログの存在意義が薄れていくような気がしてならないのですが)。
現状では、CGMと言えばブログが主流になっています。しかし、本来の意味では、画像や映像の投稿サイトや個人のホームページも立派なCGMだったのです。基本的にデータベースを持たない旧来のDRMでは、そういった「人が集まる場」としてのコミュニティにバナーを打ったり、意見を投稿したりして連動させることに意味があったと言えるでしょう。残念ながら、アルファブロガーの囲い込み=CGMM的な発想下では、そういった伝統的なDRMの特性を活かすことは難しいかもしれません…。
ただし、DRM側に、明確なターゲットのイメージや具体的数値目標がある場合は、対象となるCGMを探すことは不可能ではないでしょう。それは、我われ電通ワンダーマンが提唱するデータベースを活かしたDRMでも同じです。DRMは、安直なトレンドに乗っかることではなく、個人の購買を促進するダイレクトな手法として存在してきました。時代の趨勢としてCGMMやWOMと結び付いていかねばならないのであれば、媒体(メディア)としてのCGMと手法としてのDRMのアイデンティティをしっかりと捉え、それぞれの持つ利点を活かして行くことが、何より大切なのではないかと思うのです。
