“横”の共有を進めることで、戦略的なマーケティングが可能になる
中澤氏は「“横”の共有を進めることで得られるアウトプット」について、次のように語っている。
「共有化することによって、いつ、どんなキャンペーンが、どの顧客に対して動いているか、できればガントチャートの形式で可視化したいと考えていました。システム化や自動化を進めることで、自動的にデータを吸い上げられるようになり、キャンペーンの情報を時系列に置き換えたガントチャートができるはず。それができればメリットは大きく、どれくらいの金額がどのタイミングで動くか、見えるようになります。
そして、目的ごとに掛かっているコストを、横串で把握できるようになるはず。新規顧客を獲得する目的と、既存顧客のリピート改善の目的でそれぞれいくら掛かっているのか、時系列で集計できることが可視化する最大のメリットでしょう」
GDOのように大規模な会員を集めているサービスの場合、統計的なブレが少なくなることから、過去のデータを使って会員1人当たりの売上、リピート率・退会率をかなり正確に予測できるようになる。すると、近い未来の売上予測が高い精度でできるようになり、「新規で最低でもこれだけ会員を獲得しておかないと、中長期的に売上が落ち込んでいく」といった見通しが立てられるようになる。
「より全社戦略的な視点から、マーケティングを考えられるようになるのが大きい。事業部ではどうしても自分の部門のことが中心になってしまいますから、戦略的な視点が抜け落ちがちです。例えば、新規顧客の獲得ROIに応じて、戦略的視点から部門間を跨ぐ形で広告宣伝費の配分を柔軟に変更するといった判断ができるようになります。そうした戦略的なプランニングをしていくためにも、情報が統合されている必要性を感じているのです」
「SAS Marketing Operations Management」への評価
そんな考えを前々から持っていた中澤氏は、SASが統合マーケティング・マネジメントを実現するために開発した製品群「SAS Marketing Operations Management」をどう評価しているのだろうか。
「まず、すぐに使えるなと感じたのは、プロモーションを立てるための一連の活動がテンプレート化されているところです。ノウハウの共有化がかなり進むだろうと非常に期待しています。さらに“横”で企画を共有することができますから、いつどのタイミングでキャンペーンが走るのか、“横”のチームで共有できるようになります。キャンペーンの整合性が取れるようになり、すぐにでも最適化ができるようになるでしょう。
使えそうな機能の3つ目は、共通のフォーマットでコストやKPIを入力していくところです。どのタイミングでいくらの費用が発生して、成果としてどれだけの売上が立ったのかが分かるようになります。全社的なコストやプロモーションの投資対効果(ROI)を経営陣が把握しやすくなるのは魅力ですね」