Economist.comが分析で重視するポイント
ここからは、政治・経済・ビジネスの時事テーマを解説する週刊誌『Economist』のウェブサイト「Economist.com」のイングバーマン氏にバトンタッチされました。イングバーマン氏は「さきほどゴールドスタイン氏が挙げた基本的な指標に関しては意味がないわけではありません。Economist社でもこれらの指標をチェックしています」と話を始めました。
以下の図のように、流入元ごと(自然検索・ニュースレター・Facebookなど)の「訪問あたりの閲覧ページ数」「Economist.comへの誘導数」などを確認しています。
しかし、単純な量の測定ではなく、より広告の効果を把握し、Economist.comの成果のひとつでもある有料会員サービスの効果を測定するために、データをセグメンテーションして分析を行っています。
相性の良いコンテンツやエンゲジーメントが高い箇所の見つけ方
具体的には、以下の図のように複数のユーザーグループを取得できるように実装を行ったうえで、ユーザーグループごとの広告閲覧数を確認しています。
まず、大きく「Subscribers(青いエリア)」と「Registrants(黄色いエリア)」と「Visitors(緑のエリア)」いう3種類のグループに分けます。それぞれ「契約者」「登録者」「閲覧者」というつのグループになります。それぞれの掛け合わせのボリュームなども確認しながら、これらのグループが閲覧しているページ群や広告の効果を確認します。
また同じようにソーシャルメディアとモバイルの掛け合わせによるグループも作成しています。以下の図では「ツイッター」「フェイスブック」「モバイルサイト」の3つのグループに分けて、相互のかぶりや閲覧コンテンツを確認しています。
そもそも、それぞれのボリュームがどれくらいあり、広告商品としての見込みがあるのか、あるいはアンケートや議論といった機能を使っているのはどのグループが多いのかというチェックを行い、こういった分析から新しい広告商品などを考えているようです。
イングバーマン氏はさらに、コンテンツや機能どうしのかぶり具合を確認しています。以下の表を見てみましょう。
ここでは、利用しているコンテンツどうしの掛け合わせを見ることができます。たとえば右上の数値(83%)からは、ブログを見ている人と会員ページを見ている人のかぶり具合がわかります。他のどのコンテンツと比較してもブログと会員ページの相性が良いのがわかるでしょう(一番右の列を下に見ていってみましょう)。
Economist.comではこのように、相性が良いコンテンツやエンゲジーメントが高い箇所を見つけ、マネタイズにつながる会員への誘導を積極的に行う箇所を発見して、施策につなげています。