Facebookのタイムラインから読み取れるさまざまなこと
PVの登場人物は山本翔くんと白神美月さんの2人。山本くんがFacebookで白神さんを検索する。すぐに表示される白神さんのタイムライン。これから私たちは、Facebookのタイムラインに人生の縮図があることを目の当たりにする。
誕生と夏祭りの写真に「いいね!」する山本くん。白神さんは1990年岡山県井原市生まれ。2人は幼馴染のようである。
ふつうなら直近の投稿が表示されるはずだが、白神さんの誕生まで一気にスクロールダウンされたところから始まる。この2分程度のムービーは、ある日の山本くんの行動を追ったものではなく、何年かにわたる「いいね!」をマージしたもののようだ。
夏祭りの写真に2人がタグ付けされていることに注目したい。それぞれの名前と並んで表示される数字は、アルバムの「自分が写っている写真」フォルダの枚数で、山本さんより白神さんのほうが活発で行動的らしいことが、タグ付けの多さからうかがえる。
ちなみにタグ付けされた写真は山本くんのアルバムの「自分が写っている写真」にも掲載されているし、山本くんのタイムラインにも出てるはずなのだが、この「いいね!」はどういうタイミングなのだろう。
2006年、2人は付き合い始める。高校1年生。高3でFacebookをはじめる。ちなみに現実社会における2008年のFacebookはまだ完全に英語オンリーで、日本ではWebサービス好きの好事家しかアカウントを持っていなかったはずだ。
2009年上京。「渋谷は毎日祭り。」という写真のコメントがおもしろい。翌年に東京初デートということは、山本くんは地元に残って遠距離恋愛となったのだろう。
2011年。交際ステータスの変更。破局。21歳。そろそろ就職を考える年齢である。おそらくだが、帰郷か東京かの二択で後者が選択されたのだろう。「いままでありがとう」というメッセージを送ろうとしてキャンセルする山本くん。2012年卒業。
ここでなんとロスに移住するという住所変更のアクティビティが表示される。白神さんのプロフィール写真が変わっていることにも注目したい。つまり、別れた直後のメッセージ未遂までが第1話で、すでに後日談、別の日の検索結果に移っている。
9月に白神さん就職のアクティビティ、そして2012年11月21日、これはこのシングルのリリース日でもあるが、結婚のアクティビティが現れ、山本くんはいいね!を逡巡する。ホワイトアウト……までが第2話だろうか。
苗字が高橋になってプロフィール写真が変更され、加速。幸せそうな写真の数々をすっとばして、一気に2026年。2人は36歳のはずである。
2026年9月14日にロスアンゼルス周辺で星空の写真を投稿する白神美月さん。プロフィール写真もまた変わっているが、それより姓に注目である。
岡山県井原市に移転のアクティビティ。11月14日「ただいま」という写真と「おかえり」というコメント。山本くんは以前出せなかったメッセージを改めて打ちはじめる。15年ぶり。ちなみに2026年11月、次の土曜日は11月21日になる。
星空の写真が投稿される。アルタルフは写っているのだろうか。春の星座〈かに座〉のβ星なので、11月にはかなり深夜でないと見れないようだが。
ラストシーンで、白神さんの基本データから現在の交際ステータスが「独身」であり、フリーランスのカメラマンとして活動していることがわかる。最近のアクティビティに「大事な出来事」として「離婚」が追加されている(アンモフライトに「いいね!」もしている)。
星空公園は、岡山県井原市美星町(びせいちょう)に実在するようだ。
