検索における「一人称」と「三人称」の物語
もうひとつグラフ検索で重要なことは、検索者や友達といったユーザーの視線・行動が重要な要素となった検索だということだ。Web検索で「私の友達」と入力しても、それはWebページにある「私の友達」という文字列が検索されるだけで、リアルに自分の友達が出てくるわけではない。しかし、グラフ検索では、まさに自分の友達が検索対象となる。
Googleに代表されるWeb検索の世界観が客観的に記述される三人称とするならば、Facebookのグラフ検索は世界を私視点で覗きこんだ一人称の物語だといえるだろう。
ちなみにGoogleも最近になって「関係性」を重要視した「ナレッジグラフ」という検索コンセプトを提唱し、検索ページ中に表示するようになっている。しかし、これは表示されるものとものとの関係グラフであり、検索者やその友人といった人間自身を含めたグラフを検索するFacebookとはまた異なるものである。
どちらがより利用者に好まれるかはわからないが、企業の文化あるいは体質の違いとしか言いようのない何かがあり、ここに明確な住み分けの可能性も感じるのである。
