クリック率よりも高い、広告停止率 (アドミュート率)
ウェブブラウジングを行なっている際、何度も何度も同じ広告が表示され、辟易した経験がある方も多いのではないでしょうか。
0.09% ――これは、特定の広告に8回接触したユーザーが、その広告を停止処理するために、フリークアウトが提供する「アドミュート」ボタンを押した確率です。特定の広告への接触回数と比例して、このアドミュート率も上昇していきます。
例えば、Facebook広告の平均CTRは約0.06%と言われていますが(eMarketer)、広告を停止したユーザーは、その広告をクリックしたユーザーを上回っています。
これは、広告を配信すればするほど、広告接触を今後行うことができない「アドミュートユーザー」が 「広告経由のサイト来訪ユーザー」以上のペースで増加することを意味し、無視できない問題といえるでしょう。
フリークアウトのアドミュート機能とは
アドミュート機能とは、特定の広告主の広告を表示させないように、ユーザーが広告原稿上から操作することができる機能です。
下図の通り、広告原稿にマウスポインタをあわせると「×」アイコンが表示され、クリックすると、その広告キャンペーンを「停止」状態にできます。また、停止処理を行った後、下図のようにアンケートが表示され、約50%の確率で停止理由を送信いただいています。
ユーザー視点のアドテクノロジー
フリークアウトでは、ターゲティング広告からオプトアウトする「オプトアウトボタン」とともに、アドミュート機能を提供することで、ユーザーが自らの判断によって、表示される広告をコントロールすることをサポートしています。
広告表示の制御は、これまで掲載媒体を選ぶ広告主、そして自社媒体に掲載する広告を選別する媒体社のみが持ち得る権利でしたが、アドミュート機能はこの範囲をインターネットユーザーにまで拡張することを目的に開発されました。
広告主にとっても、ユーザーが広告表示をコントロールすることができるため、ユーザーの制御外で不適切な広告が表示され続けることによる、ブランド価値の毀損を防ぐことが可能になると同時に、停止作業時にアンケートを実施することで、なぜ広告が停止されたのかを統計的に理解できるようになるメリットがあります。
アドミュート率の高い広告配信方法
それでは、アドミュート率を低く抑えるためには、どのような手法が有効なのでしょうか。アドミュート率に関係の深い、
- ターゲティングロジック
- フリークエンシー
この2つの視点から見ていきましょう。
ターゲティングロジックとアドミュート率の相関関係
昨今、アドネットワークや DSP(デマンドサイドプラットフォーム) 経由の広告配信において、様々なターゲティング手法が用いられています。
下図は、アドミュートされた広告が、どういったターゲティングロジックで配信されたものかを示しています。
ご覧のとおり、自社サイト訪問者へのリターゲティング (サイトリターゲティング) が最も配信停止されやすいターゲティングロジックとなっています。日本国内でも 2010年4月にGoogle AdWordsにてリマーケティング機能が登場したことから、活用しているという方も多いのではないでしょうか。
ご覧のとおり、自社サイト訪問者へのリターゲティング (サイトリターゲティング) が最も配信停止されやすいターゲティングロジックとなっています。
フリークエンシーとアドミュート率の相関関係
次に、フリークエンシーです。下図をご覧ください。
接触回数が多くなればなるほど、広告配信の停止を望むユーザーが増加しています。
先に登場したサイトリターゲティングは、
- その特性上、1ユーザーあたりの接触回数が多くなりやすく、
- そもそも配信対象に限りがあるため、接触回数上限 (フリークエンシーキャップ) を高く設定しがち
です。
しかし一方で、定量的には見えづらい「うんざりした」ユーザーの気持ちを無視してしまうことにつながりかねないことが、本データから見てとれます。
アドミュート率を低く抑えるには
さて、この問題をどのように解決すればよいのでしょうか。当然、フリークエンシーキャップを低く設定することも改善につながりますが、「広告原稿のローテーション」も非常に重要であることが、下図からわかります。水色のラインが、広告原稿1種類の場合。赤色のラインが、広告原稿を3種類に増やした後のデータになります。
本事例では、広告原稿の種類を3倍にすることでアドミュート率を3分の1 以下に抑えることができています。広告原稿がローテーションされることで、「追いかけられている」印象が低下していることが推察できます。
さらに、フリークアウトではサイトリターゲティングを実施する上で、
- ターゲティング対象期間の最適化
- サイト離脱からターゲティングするまでの期間の最適化
- フリークエンシーごとに広告原稿を出し分け
- 流入元検索キーワード単位でターゲットを最適
を実行することで、高いパフォーマンスを維持しながらも、アドミュート率を抑える運用を行なっています。
アドミュート率が可視化されることによって、これまでのマーケティングコミュニケーションで蓄積した折角のブランド資産をオンラインマーケティング活動によって毀損することなく、コンバージョン全件数を最大化する打ち手を評価しやすくなったといえるでしょう。
次回は実際のキャンペーン事例を参照しながら、DSP 運用のコツをご紹介いたします。