重視すべきはファン数より「エンゲージメント率」
今や多くの企業が公式アカウントを開設しているFacebook。維持費がかからず、「いいね!」数やコメント数で簡単にユーザーの関心度合いを測ることができることなどから、開始する障壁は低いといえるだろう。しかし、企業が伝えたいことだけを投稿しても興味を持ち続けてもらうことは難しく、ユーザーのニュースフィードに表示されて邪魔だと判断されてしまえば離脱されることも多い。
ファンをいくら増やしても、個人のニュースフィードに企業の投稿が表示されているのは一部のユーザーのみ。「エンゲージメント率を高めないと、メッセージは伝わりません」と、アクセス解析ツールのUser Insight(ユーザーインサイト)やソーシャルメディア解析ツールのSocial Insight(ソーシャルインサイト)などを手がけるユーザーローカルのコーポレートセールス ディレクター 渡邊和行氏は話す。
Facebookの運用担当者にも意外と注視されていないのが現状だが、エンゲージメント率とは、1件あたりの投稿の反応率(「いいね!」が押された割合+コメントされた割合)。「実際にFacebook本社は、『いいね!』を押してくれたファン数よりもエンゲージメント率を重視することを提案していますし、当社も同じ考えです」。
ロイヤルティが高いユーザーに注目することもポイント
では、一般的なエンゲージメント率とはどのくらいなのだろうか? Facebookに関するさまざまな情報を提供するメディア「facenavi」調査によると、ファン数が500~999のアカウントで1.55%、5,000~9,999のアカウントで0.99%、50,000~99,999のアカウントで0.34%(参照)。ファン数が増えれば、それだけライトユーザーが多く熱心なユーザーの割合が相対的に減り、エンゲージメント率は低下する傾向にある。
一方で、エンゲージメント率は前述のように投稿ごとの反応率なので、どちらかというと長期的なファン育成を目的とするソーシャルメディアマーケティングの場合、「蓄積していく感がなく、スポット的に見えてしまうかもしれない」と渡邊氏は話す。
また、エンゲージメント率が同じでも、企業に高い親近感を持つ人ばかりが反応している場合とそうでない場合なら、前者の方が企業にとっては価値をもたらす投稿だと捉えることもできる。「エンゲージメント率と同様に、例えばキャンペーン参加数や製品に関する発言数が多い、ロイヤルティの高いファンがどの程度いるのかを把握することも、Facebook運用では重要なポイントになると考えています」(渡邊氏)。