Ad-tech stack:テクノロジーのワンストップ・総合スーパーマーケット
“Ad-tech stack”という言葉を聞いた事があるだろうか? 直訳すれば「アドテクノロジーの積み重ね」。昨年、海外のアドテクノロジー業界ではバズワードとしてよく耳にした言葉だ。
海外メディアでは、“Ad-tech stack”について興味深い表現で説明している。「日用品の買物に行くとき、肉屋・パン屋・八百屋と専門店を回って買物するか、Walmartやコストコのようにコスト重視の総合スーパーマーケットで買物するか」という選択肢と同じように、デジタルマーケティングのテクノロジーの世界でも“ワンストップ”で必要なテクノロジーを購入できる“総合スーパーマーケット化”が進んでいる、というのだ。
すなわち、広告の販売・購入・最適化・広告在庫管理・効果測定・レポーティング・請求書発行などデジタル広告の側面だけを見ても、多くのステップが存在するが、それら全てをひとつのプラットフォームに“統合”して提供しよう、というのが“Ad-tech stack”だ(参考:Your Marketing Machine: What You Need to Know About Ad Tech 'Stacks',AdAge)。
なぜ冒頭でこんな話をしたかというと、キーノート講演者であるAOL, CEOのTim Armstrong氏が、講演の中でプレミアム媒体社向けのSSP(Supply Side Platform)、 『MARKETPLACE by ADTECH』のリリースを発表したからだ。
“Ad-tech stack”戦略をとる企業の代表格と言えば、IBM・Google・Adobe・AppNexusといったテクノロジー企業だが、AOLのようなプレミアム媒体社がこの戦略をとっていくということに、米国市場でも注目がされている。
特に、プレミアム媒体社としては、ユニークユーザー数だけを見てもYahoo!に倍以上の水を空けられているAOLが、GoogleのエグゼクティブであったTim Armstrong氏をCEOにむかえ、DSP・RTB・SSPとプログラマティックなプロダクトの開発を発表し、今年の2月に8年ぶりの大幅な増収を記録したことで、その動向が注目されていたのだ。
まずArmstrong氏は「プログラマティック(programmatic)は広告ビジネスに血液を送り込む血管のように根付いてきているが、広告主・媒体社の両サイドにとって、コストを圧迫する存在でもある」と主張。例えば、「デジタル広告のエコシステムでは、広告主が支払った1ドルに対し、DSPやSSPといった中間業者が15~20%の手数料をとると、最終的に媒体社の手元には45セントしか残らない」と課題を示した。
そして「広告の販売から、購入まで一元化したマーケットプレイスを提供することで、中間コストを抑え、ブランド広告主にとっては広告投下コストの最適化、プレミアム媒体社にとっては収益の最大化を図ることができる」と強調した。