キャンペーン主義から全方位的な顧客中心主義へ
2人の対談からは、デジタルテクノロジーを当たり前のものとして捉えながらも、顧客を全ての中心に置いて全体的なブランド体験を創出しようとする企業幹部の姿が見えた。
Amazonをはじめとする巨大なオンライン企業に対抗するためには、旧来のチャネル(実店舗、カタログ、DM、コールセンター)も活用しながら、デジタルを顧客接点の中核に据える方向性だ。日本ではソーシャル、スマホ、O2Oと常に最新のキーワードや技術動向だけが飛び交いがちだが、こういった本質的な視点を学ぶことが大切だろう。
最後に、昨年ぐらいから日本でも耳にするようになったキャンペーン・マネージメント(以下CM)を説明したい。CMは伝統的なダイレクト・マーケティングのチャネルであるカタログ、DM、コールセンターへ効率的に顧客リストを作成するところからはじまった、歴史の長いソリューションである。
単純に言ってしまうと、特定のキャンペーンを実行する際、顧客データベースからカタログを送るべき層、DMを送るべき層、コールするべき層に分けてくれるシステムである。これ自体はコスト削減や、パーソナライズに貢献するものなのだが、全ての起点はその名の通り「キャンペーン」であり、企業側の都合で行うマーケティングを多少高度化させたに過ぎない。
レスポンシスのScott氏は顧客中心のアプローチを取る新しいマーケティングの時代には、複数のデジタルチャネルでの対話型コミュニケーションが設計可能なテクノロジーが必要とされており、それがInteraction Managementであると定義。キーノートの締めくくりとして、Eメール、ディスプレイ広告、ソーシャル、ウェブ、モバイルでの対話型コミュニケーションを実現するInteract Marketing Cloudを発表した。
次回はRelationship Era(関係性の時代)のマーケティング事例として、2012年のアメリカ大統領選でのオバマキャンペーンのEメールマーケティング戦略を紹介する。