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東京とは一味違う! 「アドテック九州」レポート

ダイレクトマーケティングは「分析→仕組みづくり」だ!
売上が低迷しているときに見出した3つのポイント

ECで年間の売上をたてるとはどういうことか?

 ECの売上は、訪問者数×購入率×客単価でできている。大事なのは「年間にどれだけリピートして購入してもらうか」。さらにユーザー軸で考えると、「新規顧客」の売上と「既存顧客」の売上がある。既存顧客の売上で重要なのは「継続率」だ。そこを詳しく調べていった。

※ここでの「新規顧客」の定義は「初回のお客様」ではなく、初年度1年目の顧客。「既存顧客」は1年以上たった顧客を指す。

 「リピート率50%と70%では成長率がまったく違う」と西井氏は言う。新規顧客の売上が5000万円、既存顧客の売上が5000万円とすると、リピート率が50%の場合、毎年新規で売上5000万円をたてても、何年たっても売上は変わらない。一方、リピート率が70%の場合は、既存顧客の売上が全体を押し上げていく(これは概念上の話で、実際にはユニークユーザーでのLTVで分析する必要があると西井氏は補足した)。

 このほかにも、顧客は年間何回購入したのか、無料サンプルから初回購入した人は何%か、初回購入から2回目に購入した人は何%か。こういうところを見て、どこに手を打てばいいのかを考えた。「無料→初回購入」を10%改善すると売上が倍増する。しかし、「2回購入→3回購入」の部分を同じ10%改善してもあまり売上は変わらないこともわかった。

 「KPIはいろいろあるが、どこまで着手すれば一番売上につながるのかを考えて、そのなかで施策に落としていった」と西井氏は説明する。

継続購入してもらうために大切な3つのこと

 分析を踏まえて、実際に継続購入してもらいLTVを上げるために大切な3つのポイントを西井氏は挙げた。

1. 購入のロイヤルティをつくる

 一度ECサイトで買った人が「もったいないから2回目もここで買おう」と思わせる仕組みづくりをした。そのひとつが「ステップアップ割引」。購入すればするほど割引率が上がるが、3か月以内に購入しないともとに戻ってしまうという仕組みを導入した。

2. 覚えてもらって選択肢に入る

 「ラーメンが食べたいときに、頭にうかぶラーメン屋はいくつ?」と考えると、だいたい3つか4つ。化粧品を買うときも、ドラッグストア、コンビニ、そしてドクターシラボのサイトというふうに顧客に覚えてもらうことが重要だ。

 「メディアカル天気予報」では、登録者に毎日乾燥情報やUVの情報をメールで配信。こうすることで1回しか買ったことのない人も、1年後にはドクターシーラボのことを覚えてくれる。また、サイトにすごろくゲームを導入。1週間以内に1位でクリアすると2000ポイント(2000円相当)がもらえる特典をつけたところ、毎日1万~2万人のユーザーが自主的にサイトを訪問するようになった。

3. 飽きられないプロダクト開発

 いま使っている化粧品を気に入って2回、3回と買ってくれている人が、「さらに美白もしたい」というときに、絶対に他社製品を探させないことも大切だ。そのために、いろんな効果がある類似商品をプロダクト開発のほうで横展開していく必要がある。

既存顧客のリピート率を上げることで、売上は5倍に

 西井氏は「毎年継続して売上を成長させていくためには、プロモーション軸だけでなく、管理ユーザー軸でKPIを見ていく。そして、どこにどういう手を打てばいいのかを考え、それを仕組み化する必要がある」と説明。最後にドクターシーラボのECの売上推移を示した。

 売上全体は2007年から2012年までで5倍に成長している。「よく見てほしいのは、青い部分が新規顧客、赤い部分が既存顧客。つまり既存顧客にちゃんとリピートしてもらう仕組みをつくったことで売上が大きく伸びる結果となった」。西井氏は「同じような問題を感じている人は、今すぐ自社の顧客の状況を調べて手を打ってほしい」と語った。

 セッションの最後には、九州代表と東京代表それぞれに会場から暖かい拍手がおくられた。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2013/07/03 10:00 https://markezine.jp/article/detail/17979

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