島袋孝一氏
2004年パルコ入社。複数の店舗勤務を経て、今年の3月に立ち上がったWEBコミュニケーション部に在籍している。主に店舗のSNS運営支援やO2O施策に取り組んでいる。
夏のセールの広告宣伝費をテレビCMからLINE施策へシフト
渋谷や池袋などの都心だけでなく、北は札幌から南は熊本まで日本各地に19店舗を構えるパルコ。店舗の中には飲食店やレディースファッション、キッズファッション、メンズファッション、靴の専門店、カバン屋などのありとあらゆる商品を扱うお店があり、幅広い年齢層をターゲットとしている。
同社はこれまで、新聞・雑誌・ラジオ・テレビといった4大メディア、インターネット(自社サイト・メルマガ)、SNS(Facebook・Twitter・Google+)を宣伝に活用してきたが、WEBを通じた顧客とのコミュニケーション手法として新たにLINE@の活用に取り組んだという。
「どこの企業においても、宣伝費の効率化が求められています。情報を伝えるにあたって、いかに効率的に、そしてお客さまの心に刺さる広告は何かということを我々も常々考えています。
今年の夏は、渋谷パルコにおいて期間限定で『LINE SHOP』(LINEのキャラクターグッズを発売するお店)をオープンするなどの取り組みを行うこともあって、思いきって夏のセール(以下、グランバザール)の予算をLINEの施策へ大きくシフトさせました」と同社 WEBコミュニケーション部の島袋氏は語る。
同社は、まず2012年12月にパルコアラのLINE@アカウントを開設。そしてLINEの施策をより立体的に見せていくために、2013年5月に公式アカウント化した。その予算は関東圏のテレビCM予算を見直し、各媒体に再配分し、その一部をシフトさせたそうだ。
本当に自社のお客さまにテレビCMでリーチできているのか?
長年行ってきたテレビCMを止めて、新たな施策に予算を大きく切り替えるにあたって、社内から不安の声などはなかったのだろうか。そんな問いを投げかけたところ、「タイミング的にテレビCMの置き換えがLINEのように見えますが、もちろんそれだけではありません。電車の中づり広告などの交通広告での訴求にも予算を投じました」と島袋氏は語る。
また、かつて宣伝部でマス広告制作などに従事してきた會田さんは、「オシャレや新しいもの好きなお客さまをターゲットとしていく中で、本当にテレビを私たちのお客さまが見ているのか、3~4年前からこのような議論はずっとありました」と述べる。
「ただ、Twitterが流行り始めた頃、タイムセールの情報をTwitterで流すといった取り組みを始めてはいましたが、テレビCMとTwitterでリーチできる人数が違いすぎ、当時はシフトに踏み切れる状態ではありませんでした。
それが今日では、テレビでなくても、情報を受け取ってくれる人を一気に獲得でき、何百万人という人にリーチできる、そんなメディアにLINEが成長したことが、広告予算シフトの背景にあります」(會田さん)
実際、店舗からテレビCMを止めることへの不安の声はあったそうだ。しかしながら、結果的には、売上及び来客数ともに前年をクリアするという好結果であった。