世界最大の技術専門家の組織で、電気・電子工学・コンピューターサイエンス分野で2000以上の現行標準を策定しているIEEEが、将来の通勤の改善にインターネット対応自動車が果たす有益な役割について見解を発表した。IEEEは現在、コネクテッド・カーに関する国際会議「IEEE International Conference on Connected Vehicles and Expo」を開催するなど、さまざまな活動を行っている。
今回IEEEは、2025年までに道路通行車両の60%がインターネットに接続し、高度な安全機能、最新の車載ソフトウェアを搭載した車両が走行していると予測。IEEE会員の見解を発表した。
アラスカ州立大学アンカレッジ校コンピューター・システム・エンジニアリング学部准教授であるジェフリー・ミラー氏は「自動車にBluetoothが搭載され、モバイル端末との通信ができる現在、自動車メーカーはすでにコネクテッド・カー技術の実装に乗り出している。コネクテッド・カーの幅広い採用により、ユーザーは自らの自動車を端末の1つとして扱うことができるだろう。モバイル・オペレーティング・システムをホスティングし、無線プロバイダーからデータ・パッケージを購入することが、将来は当たり前になる。」
コネクテッド・カーは、安全性と利便性の向上でも有益な役割を果たすことが期待されており、将来は自動車間のコミュニケーション、車の車間通信が行われるようになると予測するIEEE会員もいる。
しかし、コネクテッド・カーはソフトウェア・ハッキングの標的として狙われやすくなる。アルスター大学コンピューター・エンジニアリング学部教授であるケビン・カラン氏は「ハッカーは、オーディオ機能に損害を与え、自動車のイグニッションやブレーキ・システムを不能にし、ソフトウェアにトロイの木馬やウイルスを感染させる潜在能力を持っている。メーカーは、対抗措置として、ファイアウォールを設定して統合システムからのアクセスを制限する必要がある。車載ネットワーク間の相互接続には強い存在感があるため、1つのネットワークの侵害が別のネットワークに損害を与える可能性がある」との見解を発表している。
【関連記事】
・トヨタ、自治体や企業が利用できる「ビッグデータ交通情報サービス」を開発
・クルマ向けSNS「トヨタフレンド」構築
・ドコモ、自動車向けクラウド情報サービス参入に向けてパイオニアに50億円出資
・日産、電気自動車をリモート操作するAndroidアプリをリリース
・マイクロソフトとトヨタ、クラウドベースの自動車向け情報サービス構築へ