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MarkeZine Day 2013(AD)

自社サイトは優秀な営業マンになる!ZMOT時代、顧客とのエンゲージメントを自社サイトで構築する秘訣とは?

 「購買行動の変化に伴い、買い物の前に、自社サイトでエンゲージメントを構築することが有効になっている」と話すのは、国内外有数の企業サイトにCMSを提供するサイトコアの吉田純一氏。10月4日のMarkeZine Day 2013にて、「最新事例に学ぶ!『個客』の心を惹きつける仕組み~カスタマーエクスペリエンスを向上させるために~」と題した講演が行われた。

ZMOTの時代に、顧客とエンゲージメントを築ける自社サイトとは?

 店舗に足を運ぶ前に、口コミサイトやSNSで商品の評判を確認する。店舗で商品を手に取る時点では、すでに何を買うかが決まっている――今ではこのような購買行動も当たり前になっているが、「よく考えればこれはごく最近の話」と、サイトコア ソリューションセールス マネージャの吉田純一氏は語る。

サイトコア株式会社 ソリューションセールス マネージャ 吉田純一氏

 「2004年、顧客が店頭で商品を見て数秒で購買を決定することを、P&Gが『FMOT(First Moment of Truth)』と概念化して打ち出しました。さらに2011年にGoogleが提唱したのが、冒頭で述べた“来店の時点ですでに決定済み”という『ZMOT(Zero Moment of Truth)』です。アメリカでは現在、消費者の70%が口コミサイトなどのレビューを購入前にチェックしており、また83%の母親がテレビCMで気になった商品を企業のWebサイトで調べている、というデータが出ています」

以下、講演資料より抜粋

 口コミサイトやSNSと同じ、もしくはそれ以上に消費者が参考にしているのが、オウンドメディアの代表ともいえる企業のWebサイトだ。これに注力することで、購買行動を後押しすることができる。

 「ZMOTの時代にエンゲージメントを築けるWebサイトには、情報が常に最新であること、マルチデバイス、閲覧や行動履歴に応じた情報提供などが重要です。また、PDCAサイクルによる最適化を常に行えることもポイントになります」

スーパーマーケットチェーン事例:レシピを切り口に購買商品を提案

 例えばマルチデバイスの観点からは、当然ながらスマートフォンサイトでの閲覧の最適化や機能の充実も必要だが、PCとスマートフォンを横断して活用できる仕組みを実装することで、よりよい顧客体験を創出することができる。

 それを実践しているのが、オランダのスーパーマーケットチェーン「C1000」だ。東京のように人口と店舗が密集し、競争が激しい小売市場にて、同社はサイトコアが提供するデジタルマーケティング機能が統合されたWeb CMS「Sitecore CEP」を導入し、他店にできないエンゲージメントを構築している。

 具体的に同社では自社サイトを使って、商品単位ではなく食事のメニューを切り口に、次のような仕組みを構築している。まず、ユーザーが自宅などからサイトのマイページにアクセスし、作りたいメニューを選択。あらかじめ自宅にある材料を登録しておくと、買うべき商品がリスト化されるので、それをスマートフォンなどで見ながら店舗で効率的に買い物ができる。もちろん、オンラインでそのまま購入することも可能だ。

 そして、リストを出先にいる家族にアプリで共有し、買ってきてもらうことも可能だ。最寄りの店舗を選べば、買い回りの順番まで表示されるので、普段その店舗での買い物に慣れていない家族でもスムーズに済ませられる。

 「さらに素晴らしいのは、メニューの作り方の動画を用意するなど、購買後のフォローまでしている点。非常に“おもてなし”の精神の効いたデジタル戦略だと思います」

顧客の心を惹きつけるWEBサイト戦略

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脱毛サロン「ミュゼプラチナム」事例:コンテンツを個客ごとに最適化

 日本でもオランダでも、一昔前の小売は対面販売が基本であり、それぞれの顧客の家族構成や好みを把握した対応が当たり前だった。しかしやがてスーパーマーケットの形態が拡大し、セルフサービスが一般的に。その上で昨今の競争の激化により、「現在の利便性を保ったまま“個客”との関係を強くすることが、大きな差別化要因になっている」と吉田氏は分析する。

 前述した「ZMOT時代に効くWebサイトのポイント」の一つである、閲覧や行動履歴に基づいた最適化の例として、吉田氏は全国に脱毛サロンを展開する「ミュゼプラチナム」を挙げる。同店は、今年3月にサイトコアのCMSを導入し、大幅なサイトリニューアルを実行。特にCMSに統合されたパーソナライゼーション機能を活用し、サイト上に表示されるコンテンツを一人ひとりのユーザーに合わせて出し分けている

 リニューアル前の課題には、サイト運営を外注していてタイムリーな変更ができないこと、HTMLファイルで管理していたため担当者への属人性が高かったこと、東京の情報を関西のユーザーへ出してしまうなど情報の最適化が不十分なことなどがあった。

 「CMS導入後は、社内でのコンテンツ管理における更新スピードや属人性の問題が解決し、パーソナライゼーション機能によりサロンへの来店状況やECの利用履歴を活用してバナーを出し分けることで、情報の最適化も図れました」と吉田氏。

活用の可能性が広がる、CMSとソーシャルメディアの連携

 また、サイトコアのCMSを活用して、O2Oビジネスを推進することもできる。店舗販売とECの両方を展開している業態なら、店舗で取得できるリアルデータと、サイトでの購買状況や閲覧コンテンツなどの利用状況データを一元管理することで、最適なアプローチを分析し、オン・オフを問わない回遊を促進することができる。

 最近、活用の可能性が広がっているのが、ソーシャルメディアとの連携だ。「アメリカでは圧倒的にSNS活用が進んでおり、コミュニティマネージャーなどの専門職を置くケースもあります。特に企業宛てでなくても、ツイッターに書き込まれたクレームなどに積極的にアプローチし、どのようなフォローをすれば印象を回復できるかまで分析して対応しています」と吉田氏は解説する。

 サイトコアではAPIによりツイッターとシステム連携できるモジュールをあらかじめ実装しているので、例えばCMS側の管理画面で公式アカウントから投稿したり、それに対するRTなどの反応を管理しデータベース化したりすることができる。Facebookと連携すれば、Facebookが有する個人データを把握してWebサイトのパーソナライゼーションに活かすことも可能だ。加えて、「大きな課題であるガバナンスの点も、CMSで配信設定のワークフローを組むことで、問題の発生を未然に防ぐことができる」と吉田氏。

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Webサイトで潜在顧客の興味・関心を高める

 「ここまでの内容を通して強調したいのは、『御社のWebシステムを優秀な営業マンへ変えませんか』というご提案です」と吉田氏は話す。「マーケターの方々は、日々自社のマーケティング活動を通してさまざまなデータを収集し、分析し、アプローチにつなげていると思います。その過程で、見込みが高い顧客はリアルな営業チームに引き継ぎ、まだ温まっていない潜在顧客はWebサイトを通してその熱を徐々に高める。そんな対応が、最新のデジタルマーケティング機能が統合されたCMSを活用することで可能になります」

 具体的には、一つは前述のパーソナライゼーション機能による“個客”対応の強化。もう一つは、今改めて注目を集めているEメールキャンペーンマネジメントだ。サイトコアのオートメーション機能では、ユーザーの状態と条件を設定しておけば、資料請求のリマインドメールの送信やWebコンテンツの出し分けなどが自動で行われる。

 もちろん、そうしたアプローチも、ユーザーの関心の度合いやニーズにマッチしていなければ逆効果になってしまう。その点も、一人ひとりに最適な情報発信ができる精度の高い分析によって、期待通りの効果を得られるというわけだ。

関心の低いファンとも適切に関係構築~マンチェスターシティ

 最後の事例として吉田氏は、イギリスのサッカークラブ「マンチェスターシティ」のサイトリニューアルを挙げる。2008年のオーナーの変更を機に刷新。編集者がリアルタイムで試合の状況などを更新できない点、アクセス集中による負荷などの課題を解決するとともに、将来のデバイスの多様化やオフラインのコミュニティとの連携まで見据えた長期的なWeb戦略に着手した。

 「ポイントは、すでに提案されていた魅力的なデザイン案を活かせるか、という点でした。CMSはデザインに制限がかかることが多いですが、当社のCMSはそうした制約がなく、新デザインにスムーズに適用できました。オーナーの“グローバルエンターテインメントブランドにしたい、関心が高いファンから低いファンまでそれぞれとしっかりコミュニケーションを取りたい”との希望を活かし、コンテンツの見せ方やチケット・物販の購買方法まで整備しました」

 誰もが見られるWebサイトでありながら、サイト上での“個客”への配慮が尽くされたもてなしを実現するサイトコアのCMSは、大手グローバル企業を中心に全世界で3,000社以上が導入。動画やECなど多様なシステムと連携できる拡張性も、採用の決め手になっている。ユーザーが求めるサービスのハードルが上がっている今、サイトでのエンゲージメントの強化を可能にするCMSの導入は、他社との大きな差別化につながるはずだ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/11/05 16:57 https://markezine.jp/article/detail/18626