SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

統括編集長インタビュー

「答えは社内ではなくお茶の間にある」オープンイノベーションで挑む、房総半島ビッグプロジェクトの狙い


サグラダファミリアのような「未完成さ」が人を集める

 押久保:生活者の声を集まるやり方には色々あると思います。最近だとソーシャルメディア上の声を集めたり。でも企業はなかなかそれを上手に使えない印象です。理由はどこにあるのでしょうか。

 坂田さん:「デジタルで消費者・生活者を巻き込む」ということを、特別なことだと捉えているのではないでしょうか。例えば、ユーザーとの向き合い方。プロモーションとして一過性で付き合うことももちろんありますが、大切なのは継続的に「一緒につくっていこう」というスタンスを持つことです。また、難しいことですが、商品やサービスの課題を正直に伝えることで、生活者にも「わたしが参加しなくちゃ」と思ってもらえるものです。

 押久保:その先にいる「人」を意識することが大切だと。

 北島さん:私は坂田さんから、「ユーザーへの問いかけ方が重要」と教えて頂きました。これが、簡単なようで難しい。私たちは、車を売るために広告宣伝を行っていましたが、Blabo!では「どんなときに車が必要なのか」という我々の悩みを伝え、向き合ってもらわねばなりません。既存のリサーチ手法ではなく、ユーザーに届く問い方をせねばならないのです。

 坂田さん:生活者に参加してもらうには「余白」が必要なんです。そのため、一方通行で「新しい商品を発売しました」というコミュニケーションではなく、プロセスに参加してもらうことで、参加できる余白を残すことが大切です。いまだに建設中のサグラダファミリアのように、「何ができるかわからない」という未完成さが人を集め、参加欲求を高めることにつながります。

 押久保:でも、生活者に悩みを吐露して、一緒に向き合ってもらうなんて、大手企業ではなかなかやりづらいと思います。

 北島さん:一番大事なことは実行するということです。でないと、アイデアをもらっても「はい、ありがとう」「終了」となってしまう。当社の場合は、「やるならやれ」って感じで、実行体制を経営陣が担保してくれるので、アイデアをご提供頂いたら実行する責任を持つことができます。

 押久保:アイデアを頂いたら、できることはきちんと実行する。人と人の信頼関係をつくる作業と一緒ですね。

 坂田さん:マーケティングが発達したことにより、生活者との距離がどんどん離れていってしまっています。その結果、人間同士の関わりではなく、企業と消費者という溝が生まれる構造になっていると感じます。しかし、本来なら八百屋の店主にように、買い物にきた主婦と一人の人間として、直接話しながらニーズをくみ取る姿が正しいと私は思います。そのためBlabo!では、企業担当者と生活者が直接対話し、声を聞くことができるシステムを提供しています。彼女の食べたいものを知りたい時、アンケートではなく直接聞きますよね?(笑)。その感覚と一緒です。

 押久保:房総半島での大プロジェクトを、Blabo!を利用して進めていると伺いました。背景には、どんな思いがあったのでしょうか。

 北島さん:ガリバーは買取事業を中心に効率化を追求してきた会社なので、ユーザーとのコミュニケーションは苦手なんです。さらに「買取」というイメージが先行し、車を買う時にガリバーを選んでくれません。今は新車も扱っていますが、なかなか認知されていないんですよ。房総半島で進めているプロジェクト『ハント』は、大型商業施設からリースさせて頂いた約3,000平米の、ゾーンプロデュースを行うというものです。新車も中古車もある、まるで家電量販店のような場を作り、ガリバーとお客さんの関係性を作りたいと思っています。

 押久保:ハントは継続的にユーザーと関係を構築していくための場で、それを作るためのアイデアをBlabo!で募っている、ということでしょうか。

 北島さん:そのとおりです。約3,000平米のスペースを、ただ車を並べるだけに使いたくないんです。「だったら何があったらよい?」というのを、Blabo!で聞いています。2014年秋にオープンするのですが、その1年前にBlabo!で発表してしまいました(笑)。約3000平米のスペースを生活者と共につくるって、楽しいと思いませんか。

次のページ
生活者のアイデアでこれまでにない店舗を作る

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
統括編集長インタビュー連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/11/12 00:58 https://markezine.jp/article/detail/18635

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング