インターネットビジネスは成熟市場、だから磨き込まないと勝てない
――Webサイトは価値を高めるために磨く必要がある。今や、立ち上げるだけじゃだめということでしょうか。
それは、インターネットビジネスのマーケットが成熟化してきたからだと思います。黎明期にはどんどん新しいものを作ればよくて、たとえばiモードでは、「占い」サイトは作ればランキング上位になるので、「とりあえず作れ!」みたいな状態でしたよね。
今や、インターネットビジネスは目新しいビジネスではなく当たり前の時代。そうなると、どうやってほかよりいいサービスにするか、スタートした後の勝負になっています。
――競争に勝つには磨き込みが重要になってくる。
Google、Amazon、Facebookは毎日毎日、改善が行われています。そりゃ、あれだけのエンジニアを抱えられれば、いくらでも磨き込みはできますよね。でも、多くの会社ではそれほどのエンジニアを雇う体力がありません。やったほうがいいのはわかっているけど、人的リソース不足等でできないとあきらめている。
じゃあほかの会社はやらなくていいのか。それではどんどん差が開くばかりです。オンラインビジネスが当たり前になって、しかもデバイスは広がっています。スマホ、タブレットにも対応するため、PCだけだった時と比べて3倍の人手をかけて磨き込みをしなきゃいけないんだけど、社員の数は3倍になっていないのが現状です。

――立場上、マーケターに会う機会が多いんですが、たしかに、スマホ、タブレット、PCに対応しなければならないけれども、時間が足りないという声をよく耳にします。
最初の設計、商品ラインナップをどうするか、コンセプトなど本質的なことは社内の人が考える必要がありますが、サービスを良いものにしていくという作業は、外部のリソースだけでなく、ユーザーにも加わってもらってもいいんじゃないかなと思っていて。
アメリカでは「改善は個でやるもの。みんなでやるものじゃない」という考え方が主流のようで、「みんなで改善していけばいいじゃん」と言うと、なんだかドラスティックなこと言っているなとびっくりされるんですが。
トップダウンでは改善活動は進まないんですよね。改善は現場で、個よりチーム、チームより群衆で変えていくべきなんだなと、実際やってみて実感しています。
――外部のリソースを使って「みんなで改善していく」ことを仕組み化したのが「planBCD」サービスなんですね。
いかにして組織やサービスをよりよくする手助けができるか、というのが僕らのミッションだと考えています。だから、今は会社の売上は後回し。今、走っている案件で効果を出すことが最も重要で、効果が出ていないとどうしたらいいのかだけを考えます。
改善できた案件の積み重ねによって獲得する“累積の改善ポイント”をKPI(重要業績評価指標)にしているんです。改善し続けていれば、売上はその後でついてくるはずですから。