電通は、2月20日、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2013年(平成25 年)日本の広告費」を発表した。
総括
2013年の日本の総広告費は5兆9,762億円(前年比101.4%)であった。2013年の総広告費は、「アベノミクス」効果による持続的な景気の回復傾向と消費税増税前の駆け込み需要の影響もあり、2年連続で前年実績を上回った。
媒体別にみると、「テレビ広告費」(前年比100.9%)、「新聞広告費」(前年比98.8%)、「雑誌広告費」(前年比98.0%)、「ラジオ広告費」(前年比99.8%)の「マスコミ四媒体広告費」は前年比100.1%と微増であった。また、「プロモーションメディア広告費」(前年比100.1%)も2年連続で前年を上回った。メディア価値が定着してきた「衛星メディア関連広告費」(前年比109.6%)と運用型広告が好調の「インターネット広告費」(前年比108.1%)は、引き続き堅調に伸びた。
業種別(マスコミ四媒体)では、「金融・保険」(前年比115.6%:通販型保険商品、NISAなどが増加)、「外食・各種サービス」(前年比110.3%:法律サービスなどが増加)、「不動産・住宅設備」(前年比105.8%:一般住宅などが増加)、「家庭用品」(前年比105.5%:ベッドなどが増加)、「教育・医療サービス・宗教」(前年比103.1%:予備校・学習塾、病院・医療サービスなどが増加)など、21業種中8業種で前年を上回った。
減少業種は、「趣味・スポーツ用品」(前年比94.2%:オーディオソフト、人形・玩具などが減少)、「官公庁・団体」(前年比94.6%:政党・政治団体などが減減少)、「エネルギー・素材・機械」(前年比94.9%:電力、ガスなどが減少)、「流通・小売業」(前年比95.0%:大型量販店などが減少)など13業種であった。
テレビ広告費
テレビ広告費は1兆7,913億円(前年比100.9%)となり、2年連続で増加した。2013年上半期は、好調であった前年同期(タイ洪水被害からの復活、東日本大震災の影響の反動増、自動車エコカー補助金関連の大型出稿など)の反動減などで低迷した。下半期は、企業業績の改善や個人消費の持ち直しなどから出稿が活発化。特にテレビスポット広告の勢いが増し、前年比102.0%と活況を呈した。
テレビスポット広告は、「金融・保険」(前年比127.6%:通販型保険、宝くじ、NISA関連などが増加)、「不動産・住宅設備」(前年比114.6%:不動産仲介などが増加)、「飲料・嗜好品」(前年比105.3%:ビールなどが増加)などの業種で増加した。
インターネット広告費
媒体費
インターネット広告費(媒体費+広告制作費)は9,381億円(前年比108.1%)であった。そのうち、インターネット広告媒体費は7,203億円(前年比108.7%)を占めた。インターネット広告媒体費を市場全体でみると、デバイスの多様化・進化や景気回復による後押しもあり、2013年は前年を上回る伸び率で成長した。
市場の内訳をみると、従来からある枠売り広告は伸びが横ばいとなる一方で、運用型広告は高い伸びを示した。枠売り広告は、「情報・通信」「自動車・関連品」「食品」「飲料・嗜好品」を中心に幅広い業種で出稿が定着。手法としても、主流であるポータルサイトの活用に加え、ジャンルを特化した各種専門サイト、動画などのリッチ広告、ソーシャルメディアやスマートフォンサイトおよびアプリなど、さまざまな展開がみられた。デバイスが多様化する中、広告業務においてはデバイス横断型でキャンペーンを管理する“デバイスフリー”への試みが始まっている。
運用型広告費
インターネット広告媒体費のうち、運用型広告費は4,122億円(前年比121.6%)を占める。運用型広告費の大半を占める検索連動広告の市場は、スマートフォンやタブレットなどの普及拡大も追い風となっており、引き続き拡大基調にある。また、RTBによるDSPを活用したターゲティング効果の高い広告手法が急成長している。さらに、動画を活用した運用型広告も急伸している。
業種としては、従来からの中心業種である「金融・保険」やeコマースを活用する様々な業種だけではなく、「自動車・関連品」「食品」「飲料・嗜好品」などの業種においても、ブランディングを目的に運用型広告の活用が拡大・浸透しつつある。
※運用型広告とは、膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法のこと。検索連動広告や一部のアドネットワークが含まれるほか、DSP/アドエクスチェンジ/SSPなどが典型例。なお、枠売り広告、タイアップ広告、アフィリエイト広告などは、運用型広告には含まれない。
制作費
インターネット広告制作費は2,178億円(前年比106.2%)であった。デバイスの多様化やSNSの浸透により前年を上回ったが、成長率は前年に引き続き鈍化傾向であった。
広告プロモーション活動の活発化に伴い、案件数は増加したものの、大型案件数の減尐や制作単価の下落が続いている。また、運用型広告の増加に伴い、WEBサイトへの誘導施策としてのバナーやランディングページなどでの制作から運用までにおけるコストパフォーマンスが重視されている。
前年に引き続き「不動産・住宅設備」は躍進し、2013年は特に「金融・保険」や「化粧品・トイレタリー」「ファッション・アクセサリー」「薬品・医療用品」「教育・医療サービス・宗教」などが成長した。景気に敏感な業界やダイレクトマーケティングを行う業界が目立つ。
一方で、コーポレートサイト、ECサイト、CRMを目的とした会員サイトなどが大きく成長。これらのサイトはオウンドメディアに位置付けられ、企画からシステム/プログラム開発、デザイン/コンテンツ制作、運用保守/成果検証を含む。
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