デジタル・キャンペーンに必須の3要素とは?
編集部:デジタル・キャンペーンを成功させるための秘訣は何だと思いますか?
磯:クリエイティブや施策そのものが評価されがちですが、ベースにあるのは、何かしらの成果を上げるという目標を達成するために、クリエイティブ・施策でアタックするということです。解決するべき課題によって、クリエイターの感性で突破した方が良い場合と、データの積み上げで表現を作った方が良い場合が使い分ける必要があります。だから一番最初に課題をきちんと見つけて、何に貢献する施策を行いたいのかを決めることが重要です。広告代理店と一緒に進める場合は、そのうえで、データをいかに共有して、共通の戦略目標を立てられるかが大切ですね。
逆を言うと、課題がわからないのが一番やっかいです。5W1Hが明確になっていないと良いアウトプットは出てこない。制作サイドからお願いしたいのは、そこを明確にする作業をやってもらいたい、ということですね。
篠崎:キャンペーンを通して新しい価値習慣を作ることは、一朝一夕でできるものではありません。積み重ねが最終的に成果として出てくるものです。そこを意識できるかどうかが、今後企業の明暗を分けるかと思います。
磯:「新しさ」という観点だと、テクノロジーの進化が早いので「新しいこと」を実現しやすい時代ではあります。しかし一方で、ユーザーのデジタルに対するリテラシーも上がってきている。単純に新しいだけでは、満足されません。先ほども少し触れましたが、なぜこの企業がこんなことをするか、という文脈やハラ落ち感が必要。それがないと滑ってしまう。
私はデジタルキャンペーンを考えるとき、3つの要素が兼ね備わっているかをチェックしています。1つは「驚き」。デジタルは日々技術が進化していますが、技術を活用するときに驚きが挟まっているか。2つ目は「おもてなしの要素」。デジタルの場合はTVなどと違って、検索やバナークリックといったユーザーの能動的な行動がファーストアクションになることが多いです。だから、ユーザーに来てもらうメリットが本当にあるかが大切です。3つ目に「哲学」。なぜその企業がコンテンツを展開するのか。この3つの要素がうまく重なった時に、デジタルキャンペーンとして成功するのではないかと考えています。今の時代、1分1秒でもユーザーの時間をもらうのは大変です。そのなかで「来てよかった、得した」と思ってもらえうにはどうするか。その視点が重要です。