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ネットと店舗の融合、肝はデータ連携にあり!東急ハンズが進めるオムニチャネル戦略

2014/10/24 11:00

 「ほとんどの顧客にとって、店舗とネットを往復しながら購買することは当たり前」と話すのは東急ハンズの緒方恵氏だ。こうした購買行動に対応することは、今や小売業にとって至上命題だろう。10月7日に開催されたMarkeZine Day 2014 Autumnでは、その具体的な取り組みのポイントについて、同社の事例を通じて語られた。

オムニチャネル化はスタートライン

株式会社東急ハンズ オムニチャネル推進部 オムニチャネルコマース課 ディレクター緒方 恵氏
株式会社東急ハンズ オムニチャネル推進部
オムニチャネルコマース課
ディレクター 緒方 恵氏

 インターネットの登場により、人々の生活は大きく変化した。中でも変化が激しいのは、消費活動だろう。わざわざ店舗に足を運ぶことなく、本はもちろん日用品や食品までクリックひとつで購入できる。以前も通信販売という形態はあったが、ネットショッピングで購入できる品物の幅は桁違いに大きい。今日では、店舗で実物を見てネットで購入する「ショールーミング」という購入形態も登場してきた。

 そんな逆風が吹く小売業界から注目されている戦略がある。それが「オムニチャネル」だ。1976年に創業され、幅広いユニークな品揃えと豊富な専門知識を持つスタッフおよびコンサルティングセールスが特長の東急ハンズも、オムニチャネルに注目し、実際にさまざまな取り組みを進めている。同社オムニチャネル推進部の緒方恵氏は、オムニチャネルを「顧客が実店舗・EC、わけ隔てなく使える環境を整え、どのチャネルで購買等を行ったのかを意識せずとも行えるようなシステム(取り組み)全般を指す」と定義し、次のように話す。

 「従来の人々の購買行動は、『店舗に来て商品を見て考えて購入する』という単一チャネルで完結していました。しかし現在は、『店舗で商品を見てネットで詳しく検索し、利便性の高いチャネルで購入する』といった、チャネルを自由に横断することが当たり前になっています。こうしたオムニチャネル型消費構造は、2017年には55兆円まで拡大すると言われています。われわれ小売業は、この誰もが当たり前にやっている購買行動に対応しなければなりません。つまりオムニチャネル化はゴールではなく、スタートラインなのです」

最大のポイントは「データの整備」

 リアル店舗を持つ小売業の間で注目されている戦略に「O2O(Online to Offline)」がある。こちらはネットから実店舗へ送客を行う手段で、具体的には携帯電話へのクーポン配信などが挙げられる。オムニチャネルはEC・店舗・ソーシャルメディアなどさまざまなチャネルを融合する取り組みだが、O2Oは送客を目的とした販促活動全般と見ることができる。これを踏まえ、緒方氏は「オムニチャネルは経営戦略であり、全社一丸となって取り組む必要があります。そのためKPIも短絡的な費用対効果ではなく、中長期視点に立った売上・利益向上となります」と説明する。

 O2Oは施策として取り入れやすく、実際にソーシャルメディアでクーポン配布を行っている企業も多い。しかし、これはあくまで一つの販促活動として行うものだ。一方、オムニチャネルは概念が大きい。社内全部門が関係するため、実現には時間がかかる上、道は困難をきわめる。だが、「顧客に満足してもらうためのスタートラインが、オムニチャネル化なのです」と緒方氏は繰り返す。そして、オムニチャネル化のポイントとして3つを挙げる。

  1. データ整備
  2. 物流整備
  3. ネット技術を活用してリアル店舗にメリットをもたらす

 「オムニチャネルの最大のポイントは、データの整備です。これは非常に地味で手間がかかる作業です。会社や状況により状況はもちろん異なりますが、極端な例を挙げると、店舗では商品名・価格・卸値・発注ロットの4つの情報があれば商品を売り始めることができるので、ミニマムなデータベースで事業を展開することができます。それに対して、ECサイトをあとから開設するとなると、写真データも必要です。詳しいスペックも書かなければならない。そのため既存のデータベースとは別にリッチなデータベースを準備する必要があり、情報が分断してしまうことがある。しかし、オムニチャネルではこれらの情報を統合しなければなりません、ということです。この話は商品データに限らず、ポイント・会員データなども同様です」

 データの整備・統合にどれだけ手間がかかっても、それはあくまで小売側の事情。顧客のニーズを満たすためには、企業の事情に関係なく「やらなければならない」のだという。

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