反応を引き出すキーワードは「親近感と意外性」
編集部:ツイート内容や数値目標などは、どのように設定しているのでしょうか。
サンリオ奥村:ぐでたまの場合は、数値目標を特に設定してないです。最初は商品も何もない状態だったので、とにかく知ってもらおうというところからスタートしました。フォロワーは順調に増えて、現時点で20万人以上です。弊社のTwitterアカウントでは個人的なリプライなどは基本的にしないようにしているので、この結果はかなり良いかと。
このキャラの場合は、毎日イラストとシンプルな一言を添えてツイートしています。その言葉に若干風刺が効いていて、それがユーザーの共感を呼ぶんです。例えば月曜日の朝だと「やだ、行きたくない」、夕方になると「もう帰りたい」とか。そういった、ユーザーから見て「わかるわかる!」ということをツイートすると、リツイートが1万を超えたりします。あとは、時事ネタを盛り込むのもいいですね。
あー…なんか言おうと思ったんだけど……月曜じゃん?ダルいじゃん?今度でいい? pic.twitter.com/5COn5Ob0cZ
— ぐでたま【公式】 (@gudetama_sanrio) 2014, 9月 29
サンリオ田口:一方で、キキララやマイメロディは方針が異なります。世界観がしっかりしているので、逸脱できない難しさがあるんですね。いかに世界観を守りつつ、来年の40周年につながる広がりをつくるかというのがテーマになっています。キャラクターによっても踏み出せる範囲が異なっているわけです。
例えばマイメロディはわりとやんちゃな設定にしているので、最近はやりの「壁ドン」などの思い切ったテーマにもチャレンジできる。でもキキララは、より世界観がつくりこまれているので冒険しづらいですね。それでも今年9月1日にローンチしたばかりで、既に9万人のフォロワーを獲得しました。こちらはこの世界観に癒されたいというファンが多いので、そこを守りつついろいろと試しているところです。
サンリオ奥村:私が担当するシナモン(@cinnamon_sanrio)というキャラクターは、7~8年前にブームが起きたキャラクター。その頃、小さかった子供が高校生になっているので、その子たちにもう一度シナモンに戻ってもらいたいという狙いでやっています。世界観は守りつつ、今の若い子が面白いと思うようなことを積極的に取り入れる。それが昔のファンの呼び戻しにつながっています。これは、知っているキャラが意外な面を見せるということが、ユーザーに驚きを与えるんだと感じています。
あとは、Vineでアップする動画は反応がいいですね。今までYouTubeのリンクを貼ってたんですが、なかなかそこから飛んでくれなくて。Vineはその点、ノーアクションで見られます。キャラクターがスカートを持ってくるくる回るようなシンプルな動画でも、「かわいい」と良い反応が返ってきます。
サンリオ田口:キャラクターの性格付けには、消費者の想いが加わっていますよね。その、消費者が「このキャラってこうだよね」って思っていることを良い意味でちょっとだけ裏切ってあげると、それが驚きになって拡散につながります。そういった意外性や刺激を提供していけるようにしたいです。
ツイート内容を段階的に変化
JWT杉本:ビッグリンカーンについても、数値目標は設定していません。クライアントからは全て任されているので、それはそれで厳しい状況なのかなとは思っていますが(笑)。8月にローンチしたばかりなので、とりあえず1年目は様子見で、2年目からKPIをつくっていく予定です。ツイート内容としては、大きく4項目を設定しています。
- 初来日したという設定なので、「そばを初めて食べた」など日本での経験や発見、歳時記
- 「今日はシカゴ・カブスで日本人が先発するらしい」といった、米国やイリノイ州に関すること
- リンカーンは米国で心の広い人格者(Big Heart)というイメージ。それがわかる「今日は道に迷った子供の案内をした」といったこと
- リンカーンが残している格言など、彼ならではのエピソード
FHJ井土:まずはビッグリンカーン自身を知ってもらうことが大切です。だから、できるだけ親近感が持てるような内容の発信を心がけています。月に30回ツイートするとして、内容4は一定量キープしつつ、初期は内容1を多めに、だんだん2と3を増やしていく予定です。
JWT杉本:また、定期ツイートの4項目とは別にもう1つ、ツイートすることがあります。それは動画の告知です。実はビッグリンカーンはYouTubeにもチャンネルを持っているんです。そこで動画が公開されたらTwitterでもツイートしています。
デパートに行ってみたら、大統領クラスの歓迎を受けた。 http://t.co/a4eIrwzKaC #ビッグリンカーン #イリノイ州 #デパート
— ビッグリンカーン (@The_Big_Lincoln) 2014, 9月 5
重要なのは数ではなく「深さ」
コーセー小林:SETSUKOに関しては、数値目標を設定していますが、数字ばかりを追っかけすぎないようにしています。私たちの目的はユーザーとの会話です。無理にフォロワーを増やさなくても、深い会話ができればいいと考えています。内容も、日常でツイートするものについては細かくは決めていません。ただ、「美肌は内からも。野菜もとらなきゃ」といったような、商品のメインユーザーである女性が共感できる内容を心がけています。
また、ハッシュタグを活用することもあります。11月第3日曜日は「家族の日」といって、内閣府が定めているんですが、家族や地域の大切さについて理解を深めてもらうための日です。一方、雪肌精は1985年発売の商品で、当初使っていただいた方がお母さんになって、今では娘さんが使ってくださっている場合もあるんです。家族の日キャンペーンで「母から娘へ受け継がれていくブランド」というアピールをしました。こういう使い方ができるのも、Twitterならではだと思います。
安心で信頼できるものを受け継いでほしい。 そんな想いで動画を作りました。#雪肌精 #家族の日 http://t.co/zMozaVzNIJ
— 雪肌精公式ツイッター (@kose_sekkisei) 2014, 10月 30
それと、1日1回は「雪肌精」というワードで検索をかけて、悩んでいる人がいたらこちらから語りかけるようにしています。あとは、夜10時以降のツイートはしない。なんというか、リアルでも夜遅くの連絡ってあまり嬉しくないことが多いと思います。インターネットでも、その感覚は意識していますね。
後編は各社が抱えている課題やその対策。そしてプロモーション施策をテーマに語ります。