ネットで成約しない商材は間接効果の把握が不可欠
大島:例えば私も、自分の普段の意識を考えると、新車のバナー広告が出ていても購入の検討時期でなければクリックはしません。ニュースの記事を読んでいるとか、今その瞬間の目的がありますし。でも、何度か見れば記憶に残って、その後にテレビCMなどを見ると「あ、これか」と思ったりします。きっと、その段階で検索して、初めてサイトを訪れる人もいるでしょう。なので、当社ではアドネットワークなどで早くから第三者配信(3PAS)を使ったビュースルー効果を計測してきました。
友澤:そうなんですか。これまではネット広告の世界では手法が先行してきましたが、今ようやく間接効果の可視化を求める声が聞かれるようになってきたので、かなり先を行かれていたんですね。
大島:第三者配信も手法自体ではなく、ビュースルーのコンバージョンを可視化できる点を評価して使ってきたんです。ECなら直接の効果だけでいいのかもしれませんが、われわれのようなネット上で成約しない商材では、間接効果の可視化も不可欠だというのはずっと前からの考えでした。
MZ:では、今回計測した広告の種類と、結果をお教えいただけますか?
大島:キャンペーン開始時に、ブランドパネルでの露出が1週間。それから住宅興味層への行動ターゲティングと、リターゲティングが約1カ月半。アドネットワークも使いました。数値としては、ブランドパネルが5,000万インプレッション、行動ターゲティングが2,500万インプレッション。リターゲティングが53万インプレッションでした。
リーチならブランドパネル、残存効果が半年にもおよんだ
友澤:ブランドパネルは、フリークエンシーキャップをかけられないため平均フリークエンシーが2回でした。効果と効率の両方を考えると、行動ターゲティングがいちばんよかったですね。
大島:ただ、問題は行動ターゲティングだとターゲットが絞られてくるので、広くリーチできないことですよね。露出が多く、リーチ獲得につながったのは、やはりブランドパネルだったと思います。
行動ターゲティングで追える人は、すでに住宅に関して何らかのアクションを起こしている人なので、ある意味では遅い。広告では知ってもらうことが大事ですから、もっと上流の人潜在層にアプローチしたいので、今回でいうと、まだ住宅購入を検討していないけれどキャンペーンへの気付きをきっかけに検討するような層を捉えたかったのです。
それでいうと、ブランドパネルを出稿している間のキャンペーンサイトへの流入は、圧倒的に多かったんです。もちろんすでに検討している層も含みますが、ターゲットを絞っていないので、未検討層へもそれなりにリーチし、ある程度の割合でクリックされていると思います。
友澤:確かに、まったく関心のない人へのアプローチは、ブランドパネル以外では難しいですね。
大島:あとは、出稿期間後のフォローをどうするか。あまりしつこくリターゲティングをしても逆効果ですし。フリークエンシーをどう稼ぐかが重要だと思いました。