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Yahoo!広告活用の今を追う(AD)

ブランドパネルのクリックは半年の残存効果あり バナー広告の間接効果を可視化

 「マーケティングイノベーション室」の設立、広告ソリューションのリニューアルと、近年まさに“爆速”を感じさせるドラスティックな変革を続けているYahoo! JAPANによる本連載。今回は、大和ハウス工業の大島茂氏を迎え、今年前半に行った「xevoΣ(ジーヴォシグマ)『広すぎた密室』キャンペーン」の広告効果検証を振り返る。同社の調べによると、ブランドパネルをクリックしたユーザーの残存効果は半年間も続いたという。

大和ハウス工業株式会社 総合宣伝部 東京センター 事業販促企画室 室長 大島茂氏 ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー マーケティングイノベーション室 室長 友澤大輔氏
大和ハウス工業株式会社 総合宣伝部 東京センター
事業販促企画室 室長 大島茂氏(写真右) 
ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー
マーケティングイノベーション室 室長 友澤大輔氏(写真左)

住宅建築費用の半額を負担するキャンペーン

MarkeZine編集部(以下MZ):まずは、大和ハウスさんが行った「xevoΣ(ジーヴォシグマ)『広すぎた密室』キャンペーン」の概要からうかがえますか?

大島:当社は2月、注文住宅の新商品「xevoΣ」を発売しました。簡単にいうと、耐震性などを強化したことで今まで以上の天井高や開口幅が可能になったので、その認知拡大を含めた販促キャンペーンとして企画されたのが「xevoΣ『広すぎた密室』キャンペーン」です。広い空間が実現できることをフックにしました。

 全部で3問の謎解きを出題し、いちばん難しい3問目の正答者から抽選で1名に、xevoΣの建築費用を半額にする、という大きなインセンティブを設けました。

友澤:この謎解きが、ものすごく難しかったそうですね。

大島:そうですね。ただ、それなりの額なのでなかなか解けないような非常に難しい問題をクイズの制作者に設定してもらいましたが、締め切りの4/20までに複数名の正答者が出ました(苦笑)。抽選の様子はUstreamで生中継しました。当選者の方は他メーカーを含めて住宅の建築を検討していたそうですが、当社に決めていただき、今まさに進んでいます。

 ネット以外ではxevoΣ自体の新聞広告で少しキャンペーン紹介をしたのと、プレスリリースくらいなので、本キャンペーンの告知はほぼネット広告だけでした。

バナー広告のビュースルー効果を把握すべし

MZ:今回は、獲得系広告の効果検証ではなく、認知や興味喚起の効果を追ったということですね。実験に至った背景は何でしょうか?

友澤:効果が数値で明確に分かるのが、ネット広告の利点とされてきましたが、最近ではクリックによるコンバージョン、いわゆる獲得系ではなく、ネット広告による認知や興味喚起の効果を確かめたいというニーズが出てきています。ヤフーもその点はまだ模索中なのですが、企業の協力を得て把握する必要があると考えていました。

 そこで今回、大和ハウスさんにご協力いただいたという流れです。僕の知る広告主様の中でも、特に大島さんは効果や出稿媒体にこだわれているという印象があるんです。

大島:効果や出稿媒体を気にせずに広告を出せるなんて、うらやましいですね(笑)。

友澤:確かに、僕も広告主様の立場で考えればそうですね(笑)。特に大手企業様ですと、そもそもテレビCMなどマス広告の認知効果は数値では分かりにくいところがあるので、その慣例でネット広告もそこまで追わないケースが多いように感じます。

 その点では、大島さんは今回の検証に取り組むずっと前から、ネット広告もビュースルー効果を把握しないといけないとおっしゃっていました。

大島:昔から、ネット広告はラストクリックしか評価してきませんでしたよね。ですが、リスティング広告はともかく、バナー広告は一定のビュースルー効果があるとずっと思っていました。

ネットで成約しない商材は間接効果の把握が不可欠

大島:例えば私も、自分の普段の意識を考えると、新車のバナー広告が出ていても購入の検討時期でなければクリックはしません。ニュースの記事を読んでいるとか、今その瞬間の目的がありますし。でも、何度か見れば記憶に残って、その後にテレビCMなどを見ると「あ、これか」と思ったりします。きっと、その段階で検索して、初めてサイトを訪れる人もいるでしょう。なので、当社ではアドネットワークで早くから3PASを使ったビュースルー効果を計測してきました。

大島:例えば私も、自分の普段の意識を考えると、新車のバナー広告が出ていても購入の検討時期でなければクリックはしません。ニュースの記事を読んでいるとか、今その瞬間の目的がありますし。でも、何度か見れば記憶に残って、その後にテレビCMなどを見ると「あ、これか」と思ったりします。きっと、その段階で検索して、初めてサイトを訪れる人もいるでしょう。なので、当社ではアドネットワークなどで早くから第三者配信(3PAS)を使ったビュースルー効果を計測してきました。

友澤:そうなんですか。これまではネット広告の世界では手法が先行してきましたが、今ようやく間接効果の可視化を求める声が聞かれるようになってきたので、かなり先を行かれていたんですね。

大島:第三者配信も手法自体ではなく、ビュースルーのコンバージョンを可視化できる点を評価して使ってきたんです。ECなら直接の効果だけでいいのかもしれませんが、われわれのようなネット上で成約しない商材では、間接効果の可視化も不可欠だというのはずっと前からの考えでした。

MZ:では、今回計測した広告の種類と、結果をお教えいただけますか?

大島:キャンペーン開始時に、ブランドパネルでの露出が1週間。それから住宅興味層への行動ターゲティングと、リターゲティングが約1カ月半。アドネットワークも使いました。数値としては、ブランドパネルが5,000万インプレッション、行動ターゲティングが2,500万インプレッション。リターゲティングが53万インプレッションでした。

リーチならブランドパネル、残存効果が半年にもおよんだ

友澤:ブランドパネルは、フリークエンシーキャップをかけられないため平均フリークエンシーが2回でした。効果と効率の両方を考えると、行動ターゲティングがいちばんよかったですね。

大島:ただ、問題は行動ターゲティングだとターゲットが絞られてくるので、広くリーチできないことですよね。露出が多く、リーチ獲得につながったのは、やはりブランドパネルだったと思います。

 行動ターゲティングで追える人は、すでに住宅に関して何らかのアクションを起こしている人なので、ある意味では遅い。広告では知ってもらうことが大事ですから、もっと上流の人潜在層にアプローチしたいので、今回でいうと、まだ住宅購入を検討していないけれどキャンペーンへの気付きをきっかけに検討するような層を捉えたかったのです。

 それでいうと、ブランドパネルを出稿している間のキャンペーンサイトへの流入は、圧倒的に多かったんです。もちろんすでに検討している層も含みますが、ターゲットを絞っていないので、未検討層へもそれなりにリーチし、ある程度の割合でクリックされていると思います。

友澤:確かに、まったく関心のない人へのアプローチは、ブランドパネル以外では難しいですね。

大島:あとは、出稿期間後のフォローをどうするか。あまりしつこくリターゲティングをしても逆効果ですし。フリークエンシーをどう稼ぐかが重要だと思いました。

社内宣伝部とハウスエージェンシーで広告を管理

友澤:そこはブランドパネルの弱点でもあります、広く浅くなので。反応したオーディエンスだけにDSPでアプローチしていくとか、頻度の問題はありますがリターゲティングなど、メニューをうまく組み合わせないと適切なオーディエンスへのアプローチを次のステップまで進められない。

友澤:そこはブランドパネルの弱点でもあります、広く浅くなので。反応したオーディエンスだけにDSPでアプローチしていくとか、頻度の問題はありますがリターゲティングなど、メニューをうまく組み合わせないと適切なオーディエンスへのアプローチに関しては、次のステップまで進められない。

大島:そうですね。ただ、ブランドパネルをクリックしたユーザーの情報を分析してみると、残存効果がすごく高かったんです。最初の接触で興味を持ってクリックしてくれているので、その後は検索やリターゲティングバナーからサイトを訪れてくれるという人が、半年くらい認められました。実際に、そこから成約につながったケースの報告も受けています。

友澤:残存効果まで追えているのは、事例としてすごく貴重ですね。

大島:一方で、ビュースルーだと残存効果は2週間くらいでした。2カ月間計測しましたが、行動ターゲティングをやめてからは目に見えて減ったので、フォローがないとビュースルーだけでは難しいなと。そもそもビュースルーのみの人へのフォローは、リターゲティングもできないので限界がありますが。

友澤:クリックしなかった人へのアプローチは、課題として残りますね。ネット広告の管理は、どういう体制で行われているのですか?

大島:当社の広告は基本的に、社内とハウスエージェンシーで管理しています。すべての施策について目的やKPIから共有し、出稿媒体も選定から任せているんです。そのあたりを広告会社に任せきりだと、なかなか難しいかもしれません。

マス広告との横断的なブランド訴求も可能に

友澤:何名くらいの体制なんですか?

大島:事業部によって違いますが、住宅系だとネットの担当は社内に2人、ハウスエージェンシーも入れて4人くらいです。キャンペーン実施時は特に、サーバーの増強などの事前準備や、経過中の監視などを常に連携して進めています。

 もちろん、各種のツールは外部から導入しているので、その改善はツール提供元の会社の方と話し合って、ブラッシュアップしてもらったりもします。

友澤:経過中の監視という点では、出稿媒体に関するトラブルも聞きます。アドセーフやアドベリフィケーションに関してはいかがですか?

大島:その点は以前から注意して、配信先をすごく絞っています。そういうことがあると、今は即SNSで広がってしまうので。

友澤:今回の効果検証では、ネット広告がひとつ次のステージへ進まなければいけないという課題を感じました。最後に、今回の件での手応えと、今後の展望をお教えいただけますか?

大島:今後は、ビュースルーを含めた間接効果の測定が広がればと思いますし、広告主側としてももっと興味を持つべきですね。また、間接効果が分かるとマス広告とのつながりを考えることになるので、リッチアドを含めたプランニングが必要になります。ネットでのブランド訴求も私は可能だと思います。

 目下の課題は、スマートフォンです。PCからどんどんユーザーが流れているので、早く適切なアプローチを実現したい。その点でも、ヤフーには先進的にいろいろな情報を開示してもらえることを期待しています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2014/11/20 11:00 https://markezine.jp/article/detail/21212