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「世の中から卒業をなくす」ためにスクーが進めるUX4軸の拡充と、トライ&エラー


これまでの取り組みは、法人向け展開のためのテストでもある

――新しい取り組みとして、研修サービスもスタートされました。これはなぜでしょうか。

森氏:経営計画の上では、昔から法人向けサービスの提供を予定していました。というのも、私自身の体験がこの事業を始めたきっかけだからです。会社から提供された学習ツールが全然面白くなくて、「どうにかしたい」と思った。企業の学習支援をより良いものにしたい、という思いはずっと持っていたわけです。

 しかし、いきなり企業向けにサービスを始めると、実際に講義を受ける従業員、つまりユーザーの様子が見られません。学習意欲を本当に満たせているのか、分からない状態でサービスを提供してしまうことになる。そうならないように、まずはユーザー向けにサービスをスタートさせて、満足できるコンテンツを制作できているかデータを取ろう、と。

 ですから、この数年はユーザー動向をチェックして類型化する、ある意味テストの段階だったともいえます。そして学部システムと同様に、会社から指示されて受講しても楽しく学べるものになっていると判断できたのでサービスインしました。

――企業研修の場合、競合企業の社員が講師をしているから使えないという問題もあるのでは?

森氏:私たちはプラットフォームとして、中立な立場を保つことを常に意識しています。どこにも肩入れはしないですし、競合云々の話も企業さんにはしません。あえて言うとしたら、競合だから普段は聞けない他社のノウハウを、スクーなら聞けると考えることができるかと思います。

RPGのように人生を変えられる環境を作りたい

――学部の導入、法人向けサービスを行ってきて、次にやりたいことはなんでしょうか?

森氏:RPGの中には剣士がレベルアップすると騎士になったりと、レベルが上がると職位が変わるものがあります。学習でも同様のことができないかと考えています。スクーに入学したら「あなたのレベルはこれくらいだから、まずはこれを学ぶといいですよ」というアナウンスをする。例えばデザイン分野なら、まず初歩的なデザイン概論を学んで、次にPhotoShopの講義を20時間受けて、その次にビジュアルデザインを学ぶと基礎ビジュアルデザイナーになれますよ。でも、PhotoShopを学んだ後にHTMLを学ぶと基礎Webデザイナーになれます。といったイメージです。

――レコメンデーションを強化するということですか。

森氏:どちらかと言うと、学びの選択肢を見せてあげるイメージです。生徒の学習ログを分析して、「あなたの学習の先には、こんな道がある、こういう道もある。その中で私たちはこれが良いと思うけど、最終的に決めるのはあなたです」というメッセージを送るわけです。そして、人材業界の領域につなげたいと考えています。

 つまり、ここまで学んだら求人にそのままエントリーできる、という図式を作りたいと考えています。これは、先ほど触れたUX4軸の4番目である「学習後にリアルとの大きな融合がある」の強化につながります。学習の先にあるものが可視化できれば、学生のモチベーション維持にもつながると思います。極論かもしれませんが、「あと30時間頑張れば人生変えられるかも」という気持ちの創出が可能だと考えています。丁度今、真剣に学べば本当に人生を変えられる学習体系を構築するために、人材業界の方々に市場から求められる人物がどのようなスキルを持っているのかなどをヒアリングしているところです。

――実現はいつ頃になりそうですか?

森氏:まずは今年1年でデザイン領域で人材業界との結合を目指したいと考えています。レベルアップマップを作って、実際に使ってもらって声を聞く。小さくても良いので、きちんと土壌を作りをしたいです。

 そのために、3月に専属のマーケティングチームを立ち上げました。これまでは学部ごとにプロデューサーが企画を立てて、制作担当部署とコンテンツを作って、数字も管理するという一気通貫型でした。もちろん、数値を測定してフィードバックするという行為は意識して行ってきましたが、今後はより広く高い視点で分析、改善することができるかと思います。

「卒業をなくす」を突き詰めた先にあるもの

――最後に、スクーが目指すところを教えてください。

森氏:「世の中から卒業をなくす」のが私たちのビジョンです。色々なシーン、人、環境によって学びの課題はたくさんあると思います。それを全て解決してゆきたい。ここでの学びには企業研修も、自分の世界を変えるための学びも、一日を輝かせるための学びも含まれます。ですから、学びの場をビジネスだけでなく生活に根ざした分野まで増やしていきたい。そして、「学んだ先でその人は幸せになれたのか」も把握する必要があると考えています。そのため、学習やHR領域だけでなく、遺伝子の領域への接続も視野に入れています。

――遺伝子ですか?

森氏:大きな話のように取られますよね(笑)ですが「卒業をなくす」という視点を突き進めれば、人間の根本に関わる遺伝子の領域も地続きだと思うのです。後天的な学習による変化ではなく、遺伝子データから自分も気づいていない適正を探し出すことも可能なのではないと考えています。今年すぐに実現できるものではありませんが、長いスパンでトライしたいと思います。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/04/07 19:43 https://markezine.jp/article/detail/22229

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