マス媒体に匹敵する規模を持つLINEのプラットフォーム上で、1to1マーケティングを実現する
さらに獲得したユーザー属性情報を活用し、当初の目的であったアルコールに関する情報発信も、すでに実施している。

「3月24日から、期間限定商品『一番搾り 小麦のうまみ』を訴求する施策を行いました。このキャンペーンでは、20歳以上で、事前に『アルコールの情報を受け取る』と了承した友だちに対してメッセージを配信しました。LINEビジネスコネクトを活用することで、商品の認知度を高めるだけでなく、お客様の属性や趣味嗜好に合わせて適切なメッセージ配信を実現したいという大きな目標があります」

そして同キャンペーンにおいても、応募者に対してアンケートを実施。生年月日の情報はすでに取得しているので、帰宅時間や居住地をたずねたという。
「すでに『20歳以上でお酒の情報を欲してる』ということはわかっています。さらに帰宅時間や居住地情報を加えることで、地域限定商品の案内をしたり、その方の帰宅時間に合わせてコンビニ限定のお酒のおすすめ情報を送ったりと、活用方法は多種多様です。タイミングが合えば、そのまま帰り道にコンビニに立ち寄って、購入してくれる可能性も大きく高まるでしょう。そのようなコミュニケーションの実現に向けて、第一弾となる布石が今回の施策でした」
LINEビジネスコネクトを活用すれば、ユーザーごとにメッセージの内容をはじめ、配信時間帯を変えるなど、細かな設定をすることが可能になる。マス媒体に引けを取らないリーチの規模を持つLINEのプラットフォーム上で、1to1マーケティングを実現できる仕組みがLINEビジネスコネクトだと言えるだろう。
また、同キャンペーンに関しては「CTRは約31%という驚異的な結果がでた」と野際氏。先に述べたメッツのキャンペーン施策のCTR4.4%に対し、約8倍の結果に。さらにクリックしてLPに遷移した後に、実際に応募した人は95%だったという。たった5%しか離脱していないことから、ユーザーが欲している情報を提供することの価値がここから読み取れる。
ゆくゆくはテレビCMなどのマスプロモーションとの連動も視野に
テレビCMなどをはじめとした、マスプロモーションも多数実施している同社。それらとLINEの施策は、どのように連動しているだろうか。
「現状では、LINEビジネスコネクトでユーザー属性情報を集める段階です。まずはある程度の規模にまでLINEでの影響力を拡大した後に、マスプロモーション施策とも連動させていきたいと考えています。今はまだ仕込みの段階ですが、来年以降には本格的にスタートさせていきたいですね」

また費用対効果を判断する指標に関しては、現状では厳密に設定してはいないそうだ。今は施策を繰り返して仮説を検証し、様々なデータを蓄積していくフェーズだという。
「現状では、クリック数や訪問者数といった指標での効果の計測にとどまっています。まずはLINEビジネスコネクトを活用した施策を積み重ねて、次の施策でお客様それぞれにどんな情報を送るべきか、また送るべきではないのかを、判断できるデータベースを構築していきます。データを蓄積して、次のマーケティング施策に活用していく視点は、昨今注目されているDMPの話しとも共通している点でしょう。
デジタル施策を実施した結果、どれだけ店舗の売上に結び付いたか。アンケートベースである程度は検証することはできますが、実購買とデータを結び付けて明確化することはなかなか難しいというのが正直なところです。ただ、ゆくゆくは売上に直結する施策を実現していきたいと考えています」
野際氏によると、売上まで直結するLINEビジネスコネクトを活用した施策をすでに仕込んでおり、早ければ夏以降に実施できるように準備しているという。
「LINEの中で完結できるような仕組みで、店頭のキャンペーンにまでつなげていく設計を考えています。その場合、お客様に対して提供するインセンティブは何かしらLINEに関係するものになってきますので、そこは検討している段階です。先に実施した施策とは異なる、新たなLINEビジネスコネクトの活用手法としてチャレンジしていきます。最終的な私たちの目的は、お客様ごとに適切なメッセージを最適なタイミングで届けて、さらにアクションを起こしてもらうことです。メッセージを伝えたその先に、店頭や工場見学に足を運んでもらえるように、エンゲージメントを高めていきたいですね」
