見込客を売上に変える“リマーケティングメール”
リマーケティングメールとは、見込客としてリスト化済みのユーザーがサイト来訪したことなどを条件として、メールを送るというもの。
「自社サイトを訪問してくれたユーザーに対して、リターゲティング広告を配信して再来訪を促している企業は多いはず。けれど、リマーケティングメールに取り組んでいる企業は、今のところあまり見掛けません。それでも、リマーケティングメールを試してみた企業からは、見込客としてリスト化した直後に営業しても受注につながらなかったユーザーや、一定の期間中に何度もサイト来訪してくれているユーザーなどを対象に送ってみたところ、短期間のうちに驚くほどの成果があったという報告が多数届いています」(村尾氏)
マーケティングオートメーションといえば、「最初のメールに反応した人はこのページに誘導して、そのページを見たら次はこのページに誘導して……」というように、複雑なカスタマージャーニーの自動化をイメージする企業が多い。しかし、いきなりこのような施策を実行するとPDCAが大掛かりになりすぎて、成果を実感するのに時間がかかってしまうという。複雑化せずに、まずシンプルに始めてみることが重要というわけだ。
実際、シャノン自身が自社の見込客リストに対してリマーケティングメールを配信している。セグメントを掛けずに送信すると開封率15%・コンバージョン率(CVR)0.2%ほどだったメール文面でも、リマーケティングメール機能を使って直近1カ月にサイト訪問した見込客に絞って送ることで開封率は30%、CVRは3%前後にまで跳ね上がった。
「ある調査会社の発表によると、営業担当者が『受注確度が低い』と判断してリストに入っている見込客をフォローしないでいると、約8割が2年以内に競合他社の顧客になってしまうそうです。特にBtoB企業のマーケティング担当者にとっては、新規の見込客を獲得してくることも重要ですが、営業側が見込みが無いと判断した顧客であっても、実はWebサイトで情報収集をしている顧客は一定数存在します。
顧客側の意識としては、能動的に情報収集をするため営業とのコンタクトをとるより、Webサイトの情報収集を優先するという状況が考えられます。そういった顧客に対するアプローチとして、リターゲティング広告だけでなく、リマーケティングメールも活用してみてはいかがでしょうか」(村尾氏)
参考情報:第34回 放置した見込み顧客の8割が2年以内に競合に流れる?,ITpro
リマーケティングメールで担当者のモチベーションもアップ
リマーケティングメールを試すからといって、コンテンツ制作にこだわる必要はない。まずメール文面は既にあるものをベースにし、誘導先ページは関連しそうな内容の既存ランディングページ(LP)を使えばいい。それだけでも、一定の成果を期待できる。大切なのはまずは一歩踏み出して、施策を回してみるという意識だ。
とにかく1度試してみて、「成果につながる」という手応えが得られたら、コンテンツの作り込みに入っていこう。どのページを見た見込客にはどんなメッセージを送ればいいか。メールから飛ばす先のLPはどんなものが効果的か。A/Bテストを繰り返すことで、開封率・CVRはどんどん向上していくはずだ。
「私自身、SHANON MARKETING PLATFORMのマーケティングを担当していて、『リマーケティングメール関連の施策は面白い』と感じています。A/Bテストを繰り返すことで、見込客が顧客へと変わる確率が高くなり、もちろん売上も伸びていく。マーケティング担当者としての評価に直結することですから、モチベーションも上がりやすいのではないでしょうか」(村尾氏)
そして「見込客がマーケティングオートメーションツールによって顧客へと変わる」KPIを把握できるようになってきたら、今度は顧客へと変わった見込客を最初に獲得したチャネルを分析し、投下する広告予算を増やしていこう。どのイベントに出展したときに獲得した名刺から、どれだけの売上が生まれたのか。専門情報サイトに掲載されたタイアップ記事に刺激された見込客は、どれだけの確率でリマーケティングメールを開封し、成約に至るのか。
シャノン自身がそうしたA/BテストやPDCAを回した結果、受注に結び付いた資料請求のうち、20~30%ほどはリマーケティングメールから発生するように。そして今は「売上に繋がる道が見えてきたので、広告予算を増やして母数の拡大を図る」という、次のステップへと踏み出している。