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データ活用の現場を直撃!(AD)

フィデリティ証券に聞く「分析専門組織を立ち上げ、組織を巻き込みながらデータ活用を行う」秘訣

顧客理解の鍵は「購買行動」と「予兆」の把握

羽根:確かに金融商品はお客様のライフイベント、人生に密接に関わってくるものなので、お客様のライフステージにしたがってニーズは変化していきますし、継続的にそのニーズを捉えていく必要がありますね。

江口:仰る通りです。お客様のニーズや資金力について、一度把握したらおしまいではありません。20代、40代、60代と、ライフステージごとに投資の目的や期待する成果は変わっていきます。変化をいかにとらえるか、いかに予測するかを考えるときに、やはりデータベースマーケティングは役立ちますね。

羽根:お客様の理解やマーケティングを行うにあたって、江口さんご自身はどういった切り口で分析されていますか。

江口:例えば、投資信託をお買い上げいただく方は、比較的年齢が高い方が多いのですが、そういったデモグラフィック属性でセグメントするのではなく、実際のお客様の購買行動を見ていくことが、お客様を理解するために大事なことだと考えています。

 さらに、“買おうと思ったけどやめた”といった、お客様の揺らぎは取引のデータからは読み取れません。この購買行動に至らない“予兆”がお客様を理解する際にはとても重要だと考えています。そこで、弊社のサイトにお越しいただいた方の行動の把握だけではなく、そこから次の行動の予兆を見出す分析に着手しています。

 また、購買行動には必ず理由があるわけですが、お客様のニーズを正確に把握するには、直接お聞きするしかない。例えば、弊社では顧客満足度調査を実施して、その意見をベースに自分達でできることを考えながらサービスを展開しています。ただ、様々なお声が出てくるので、まとめるのは大変ですね。そのために、テキストマイニングの活用も始めています。

羽根:なるほど。「お客様目線で」を標榜するのは簡単ですが、それを徹底して実践している企業はまだそう多くないのかな、と思います。ただ、データや分析技術を駆使すれば、お客様のニーズを徹底的に理解することができますし、今後の“予兆”を事前に把握することもできます。こういった取組みを行うのは、今は一部の先進企業が中心ですが、分析技術が広まるにつれて、もっと一般的になっていくのでしょうね。

分析は目的ではない、その後に何をするかを意識

羽根:ところで、セグメントという言葉が出てきましたが、顧客セグメンテーションをされる上で、気をつけている点は何でしょうか。

江口:購買行動に関連するデータは、選り好みせずにとにかく沢山集めることですね。また、単純に生のデータを使うだけでは、切れ味の鋭いセグメンテーションはできないので、顧客を分類するための軸の作り方、選び方はいろいろ試行錯誤しています。これが大変ですね。

羽根:業界を問わず、データをクレンジングするための作業量や、そもそも分析を実施する上での経験不足が課題という話をよく伺います。江口さんのデータ分析業務では、データの抽出、加工に時間を割かれている状況でしょうか。

江口:やはり、最初はデータの抽出と加工に7割はかかっていました。ですが、取り組んでいるうちに加工のコツは見えてきますので、時間は短縮されていきます。また、限界もわかってきますね。見切りをつけるまでの時間が早くなってくる。

羽根:確かにデータの加工や分析は、一度はじめるとキリがない世界ともいえます。分析のための分析に陥って、その後のマーケティングや営業のアクションに結びつかないケースもよく見ます。アクションのためのリードタイムを考えて、分析に区切りをつけることはとても重要だと思います。

江口:そうですね。分析において重要なことは、セグメンテーションを作ることではありません。“みんなで何をするかを決めて実行する”ことです。作ったセグメンテーションの内容をプロダクトに関わるメンバーに漏れなく・わかりやすく伝え、そこから何ができるのかをみんなで考えて、一つ一つ実行に移す。ただクラスタリングやセグメンテーションをしただけでは不十分です。そのための時間配分が大切だと考えます。

分析担当者は「相手に寄り添う」意識を持つべし

羽根:江口さんは前職でも現職でも、分析組織を立ち上げてらっしゃいますね。言葉にすると簡単ですが、様々な業種の企業が、その実現を目指して苦労されているところです。江口さんが度々成功されている秘訣は何でしょうか。

江口:まだ私も道半ばなので、最終的に成功したかどうかは評価できません。ですが、私たちの行っている分析が、社内各所で行われている活動の“見える化”に役立っていると感じていますね。

 例えばセールス活動では、必要なKPIを明らかにした上でレポーティングを定期的に行い、わかること/わからないことを分析してセールス担当に伝えていくということをしています。そのため分析担当者は、ビジネスを理解して、その主旨に合った分析をすることを徹底しています。

 これは難しいことではなくて、相手に寄り添って理解するという意識を持てば良いのです。フロントラインに立っている人と会話をし、自分なりにビジネスを理解しながら、自分の分析の精度を上げていく。ニーズに対する正確さに磨きをかけていくわけです。

羽根:当たり前のようですが、結果を活用する部門のニーズを徹底して理解し、それに沿った分析を継続して行っていくことが、分析部門成功のエッセンスということですね。

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/10/09 12:58 https://markezine.jp/article/detail/22905

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