単純な外注ではない、役割分担で柔軟なメディアづくりを実現
発注が決まったライターとのコミュニケーションについても、ランサーズには大きな特徴があると長島氏は語る。「記事の質を高めるために、ライターのハンドリングは自分たちで細かく行いたいと考えていました。ですから、ライターの手配はお願いしたいけれど、記事のテーマや体裁などは直接ライターと相談したい。しかし、こうした柔軟な対応は難しいと断られることも多くありました」(長島氏)
他のクラウドソーシングサービスでは、ライター探しから、発注、支払といったコミュニケーション全てを発注者が行うか、ライター手配から記事テーマの設定・執筆を含めて全て請け負ってもらうかという選択肢しかないという。「手配や発注面はサポートしていただけて、コンテンツ作りは我々が直接関われる。ランサーズのスタイルは理想的でした」(長島氏)
ライターを探し始め1ヶ月足らずで30名を確保し、コンテンツ拡充を進めることができた。立ち上げの7月にアップできた記事は100本だったが、そのうち約7割をランサーズ経由の記事で補ったという。また、その後も継続的に20~25名のライターに発注。9月には単月の公開記事本数が500本を超え、その8割がランサーズ経由となっている。
「ランサーズさんにご紹介いただいたライターさんからは、安定したクオリティで記事があがってきます。多くの方から、お願いした記事数をしっかりと納品いただけていますね。クラウドソーシングの発注相手というと、主婦や学生などの生活の片手間に作業を行う人、またはアマチュアというイメージもあるかと思います。ですが、メジャーなメディアでの執筆歴があったり、元編集者であったりと、実力と責任感が強い方を紹介していただけています」(鳥居氏)
良質な記事作成の鍵は、ライターに裁量を与えること
コンテンツを量産するだけでなく、いかに良質な記事を用意できるかもメディアにとっては大切な視点だ。狙い通りの記事を書いてもらうためには、ある程度ライターに裁量を与えることが重要だと鳥居氏は語る。
「はじめは、発注に際してタイトルはもちろん、見出しや画像の数、内容の方向性まで細かく指定していました。しかし、その方法ではこちらの負担も大きいですし、ライターさんによっては書きにくいこともあったようです。そこで、タイトルはこちらで決めるものの、読者に伝えたいこと、記事のゴールを共有して、具体的な内容はお任せするスタイルにシフトしました。すると、記事の質が断然良くなったんです。ライターさん自身に記事の内容を考えていただくことが、質の向上につながるようです」(鳥居氏)
発注スタイルを変更したことで、当然ライターの料金体系も変わる。その際の交渉などもランサーズがサポートに入ることで、円滑な手続きができたと鳥居氏は振り返る。「さらに、ランサーズさんは私たち以上に各ライターさんの勤務状況等を把握してくださっています。メディア運営には直結しない、ライターとのコミュニケーションをお任せできているイメージです。このディレクションに、私たちの時間が取られなくて済むメリットは大きいですね」(鳥居氏)
継続して発注しているライターの長期休暇や離脱がある際も、ランサーズ側で別のライターの手配に動いてくれる。「単純な人材の確保ではなく、人事面をランサーズさんにご担当いただいているイメージですね」と長島氏。現在も、2~3日に1回は連絡を取り合い、常に新しいライターのトライアルをしている状態だという。「最初はメディアの属性に合うライター、次は生産性の高いライター、今はその人にしか書けない深く面白い記事を書けるライターと、こちらのニーズもどんどん変わっています。ランサーズの担当者と密に連絡をとって、臨機応変に手配していただいています」(長島氏)