メディア運営の経験ゼロから新メディアを立ち上げ
株式会社にじげんは、アルバイト情報や賃貸住宅情報など20以上の生活情報メディアを運営する株式会社じげんのグループ会社だ。じげんが転職や引っ越しなどライフステージの大きな変化にまつわる情報を発信しているのに対し、にじげんは占いや音楽など、毎日の生活で楽しめるエンタメや、喜び・楽しみにフォーカスしたサービスの提供を行っている。同社では2015年7月、女性が本当の幸せを見つけるきっかけを届けるキュレーションメディアとして「Clover(クローバー)」を新たに立ち上げ、運営している。
公開から3ヵ月で約100万PVを集め、月に約500本の記事を提供している同メディアの企画・立ち上げを担ったのが、長島寛人氏だ。同氏はじげんから、にじげんに出向中。現在、同社にてマーケティングと戦略立案を担当している。一方、鳥居新悟氏は学生インターンながら今年7月に長島氏からクローバーの運営を任された。
会社としてはメディア運営の実績はあるが、長島氏と鳥居氏自身にメディア立ち上げ・運営の経験はなかったという。ゼロからメディアを作り上げる際にぶつかったのが、コンテンツの拡充という壁だ。両氏はどのようにして社内リソースの効率化と、良質な記事の掲載という仕組みを確立したのか。詳しい話を聞いた。
自分では記事が書けない、ライターのツテもない
クローバー開設のきっかけは、既存の占い事業から出てきた問題意識だったという。同社ではプロの占い師が利用者の悩みを解決する「みんなの電話占い」等のサービスを提供している。
「プロによる占いは敷居が高く感じられるのか、悩みが深刻化してから利用される傾向があります。ですが、悩みは深刻になる前に解決する方がいいですし、当社としても本来はもっと軽い段階の悩みの解消からフォローしたいと考えサービスの展開をしてきました」と長島氏。女性たちの“悩みになる前のストレス”を日々こまめにリリースできないかと考えた結果、構想されたのが新メディアの提供だった。「女性が本当の幸せとは何か、それぞれの幸せの形に気づくきっかけを与えるメディアを作りたいと思い取り組みました」(長島氏)
プロジェクトは社内の承認を得て6月にスタートしたが、長島氏はコンテンツ作りという課題に直面した。メディアとして成立させるためには、多量の記事を継続的にアップすることが必須。KPIは月1000本の記事公開と定めていた。「男性である私では、どうしても女性の悩みを肌感覚で掴みきることができません。そのため、記事の執筆が非常に難しかったのです」(長島氏)
そこで、外部のライターに執筆を発注する方針を取ることにした。だが、自社でのライター確保は、人探しから始まって経歴や実力の確認などが必要だ。適切なライターと出会うには、時間や労力のコストがかかってしまう。そこで目をつけたのが、クラウドソーシングサービスだった。「複数のサービスを検討しましたが、最終的に、ランサーズの法人アカウントサービスをメインで利用していくことにしました。身元が分かる人にのみ発注できる機能や、専任サポートがつくなど、法人が安心して利用できるサービスが多数備えられていることが採用の決め手です。一度、トライアルをしてみたのですが、様々なアドバイスをいただけた点が非常に大きかったですね」(長島氏)
記事を毎月1000本用意するならば、ライターは200人ほど必要だと長島氏は考えていた。だが、社内スタッフは同氏と鳥居氏の2人のみ。対応できるリソースに限りがあるので、多くのライターを抱えるのは難しい。その懸念をサポートに相談したところ、週に10本以上の記事を書ける生産性が高いライターを中心に紹介を受けることができた。