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EC戦国時代のいま、顧客の心をつかむOne to Oneマーケティングをブレインパッドが解説

ECで利益を上げるための方程式

 これまでのシミュレーションやテストマーケティングによる結果を受け、林氏は「利益を上げるポイントはCPO(Cost Per Order:注文獲得単価)と各種コストを下げるか、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を上げるかのどちらか。そして先述のシミュレーションなどで明らかになったように、基本的には既存顧客向け施策の方が効率が良い」と語る。そう考えれば、自然と既存顧客への施策に比重をかけることの重要性がわかるだろう。

 そもそもECは以前から言われているように、下位80%の品目が上位20%の品目の売上を上回る「ロングテール」ビジネスだ。スペースに制約がないため、いくらでも商品をおいて販売できる。しかし一方で、選択肢が増えれば「欲しいものが見つけ出せない」というデメリットも生じる。つまり、各個人に合わせて“欲しいもの”に関する情報を選別して提供する必要がある。

 ただし、その際に単に情報を与えればいいわけではない。林氏は「適切なタイミングや量で提供しなければ顧客は不快感を抱く。タイミングも情報量も一人一人の顧客ごとに快適と思われるショッピング環境を提供する『おもてなし』が大切」と、One to Oneマーケティングの施策の重要性を力説する。

One to Oneマーケティングで理解すべきは「顧客の人となり」

 それでは実際のOne to Oneマーケティングとはどのようなものなのか。概念的には20年以上も前から存在するものの、現在はテクノロジーの進化により、様々なことができるようになったという。

 しかし、「すぐにできる」と思うのは早計だ。One to Oneマーケティングを行うには、まずは顧客をよく知ることが必要になる。近年はニーズの多様化と散在化が進み、さらには変化も早い。ビッグデータとして取得されるデータは項目も量も多く、そこから顧客像を捉えるのは、専門の知識やスキルが必要になる。

 たとえば「顧客の人となり」を知るには、「サイト内の行動」のような「行動と動機」、「活動時間帯」のような「生活と態度」の2種類のデータが必要だ。これらのデータは、POSなどのオフラインデータとWebアクセスログなどのオンラインデータ、そしてSNSなどの外部データから得ることが出来る。これらのデータを用いて、顧客がどのようなステータスにあるのかを理解することが重要だ。そのためには従来のように属性分けするのではなく、「誰に」「何を」「いつ」「どのように」を組み合わせてタイムリーに顧客の様子を捉えていくことが有効となる。

 ここで林氏は顧客5人のOne to Oneマーケティングのシナリオ例を紹介。前述の情報の他、「来店」「メルマガクリック」といったリアルタイムでの行動データやショップ側のセールデータなども加えながら、顧客のステイタスに合わせて的確な情報を提供し、優良顧客へと導いていくわけだ。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/12/03 10:00 https://markezine.jp/article/detail/23392

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