“獲得”を重視しすぎた広告指標だけでは、ブランド価値を毀損する
では「中間指標」を省いた広告の指標には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。それは「ブランドの価値を毀損する」ことです。当然のことながらブランドを広告活動を通じて正しく人々に伝えるためには、然るべき広告を、然るべきタイミングで、然るべき場所で正しく見せることが第一に優先されることです。極端な話ですが、ラグジュアリーブランドが公序良俗に反するサイトに掲載していたらいかがでしょうか。仮に信じられないほど多くの顧客数を獲得できたとしても、実はブランドは大きく毀損していることになります。重要視している指標が「獲得」重視であると、ターゲットではない人に、全く望んでないタイミングと、望んでいない場所で広告を見せてしまっている可能性があるにも関わらず、それに気付いていない可能性があるのです。
対して欧米では、「ブランドを毀損しないことを前提とし、月間○千万円を広告予算として投資して、どれくらいの人々に見せて、どれくらいの認知を得たか」といった指標で適正に運用されています。ブランドありきで、人かつ正しいターゲットに見られなければ意味がない、と考えているため、不正広告を排除しようという問題意識が生まれやすかったといえます。

欧米で進むアドフラウド対策「アドベリフィケーション」とは
このような背景があり、欧米ではブランドを毀損せず健全にデジタル領域の広告を活用するため積極的にNonviewable Impressionやアドフラウドへの対策が進められていきました。その中の一つが、近年になって企業が積極的に導入をはじめたアドベリフィケーションというツールです。
主な機能は大きく2つ。一つは「ブランドセーフティー」です。例えばDSPなどのプログラマティック広告で広告を配信した場合、広告主のイメージ低下を招くようなサイトに配信されないよう防止する機能です。もう一つは「インビュー(ユーザーが実際に目にする位置に広告が表示されたインプレッション)」を計測する機能です。IABのアドベリフィケーションに関するガイドラインでは、上記の2点に加えて「広告閲覧者のいる場所・地域指定」「競合との同載禁止」「広告掲載の不正検知」なども、アドベリフィケーションの機能として含まれています。
アドベリフィケーションツールを用いることで、大別するとブランドが望む媒体に広告が出たか、そもそも見られる枠に掲載できたかのレポート結果が戻ってきます。その際、広告主側は媒体社ごとの傾向を見て、広告詐欺が多そうな媒体を排除したり、ターゲットに正しく広告配信できているかを検証し、媒体ごとの精度を上げていくことができるのです。
しかしながら、アドベリフィケーションツールを活用してブランド毀損から守り、インビューを計測することが可能になっていても、広告を配信している先が人なのか、コンピューターなのか、もし人であったとしても適切なターゲットか否かを確実に判断するのは難しいという現実があります。では欧米をはじめ、アドベリフィケーションツールを活用している企業はどのように「人なのか、コンピューターなのか」「人だとしてもターゲットなのか」を判断しているのでしょうか。そのヒントは欧米に限らず世界中で人気のFacebook広告にあります。