SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

アドフラウド対策最前線

その広告を見ているのは人ではなく、ロボットかもしれない/アドフラウド問題の基礎知識を押さえよう

“獲得”を重視しすぎた広告指標だけでは、ブランド価値を毀損する

 では「中間指標」を省いた広告の指標には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。それは「ブランドの価値を毀損する」ことです。当然のことながらブランドを広告活動を通じて正しく人々に伝えるためには、然るべき広告を、然るべきタイミングで、然るべき場所で正しく見せることが第一に優先されることです。極端な話ですが、ラグジュアリーブランドが公序良俗に反するサイトに掲載していたらいかがでしょうか。仮に信じられないほど多くの顧客数を獲得できたとしても、実はブランドは大きく毀損していることになります。重要視している指標が「獲得」重視であると、ターゲットではない人に、全く望んでないタイミングと、望んでいない場所で広告を見せてしまっている可能性があるにも関わらず、それに気付いていない可能性があるのです。

 対して欧米では、「ブランドを毀損しないことを前提とし、月間○千万円を広告予算として投資して、どれくらいの人々に見せて、どれくらいの認知を得たか」といった指標で適正に運用されています。ブランドありきで、人かつ正しいターゲットに見られなければ意味がない、と考えているため、不正広告を排除しようという問題意識が生まれやすかったといえます。

欧米で進むアドフラウド対策「アドベリフィケーション」とは

 このような背景があり、欧米ではブランドを毀損せず健全にデジタル領域の広告を活用するため積極的にNonviewable Impressionやアドフラウドへの対策が進められていきました。その中の一つが、近年になって企業が積極的に導入をはじめたアドベリフィケーションというツールです。

 主な機能は大きく2つ。一つは「ブランドセーフティー」です。例えばDSPなどのプログラマティック広告で広告を配信した場合、広告主のイメージ低下を招くようなサイトに配信されないよう防止する機能です。もう一つは「インビュー(ユーザーが実際に目にする位置に広告が表示されたインプレッション)」を計測する機能です。IABのアドベリフィケーションに関するガイドラインでは、上記の2点に加えて「広告閲覧者のいる場所・地域指定」「競合との同載禁止」「広告掲載の不正検知」なども、アドベリフィケーションの機能として含まれています。

 アドベリフィケーションツールを用いることで、大別するとブランドが望む媒体に広告が出たか、そもそも見られる枠に掲載できたかのレポート結果が戻ってきます。その際、広告主側は媒体社ごとの傾向を見て、広告詐欺が多そうな媒体を排除したり、ターゲットに正しく広告配信できているかを検証し、媒体ごとの精度を上げていくことができるのです。

 しかしながら、アドベリフィケーションツールを活用してブランド毀損から守り、インビューを計測することが可能になっていても、広告を配信している先が人なのか、コンピューターなのか、もし人であったとしても適切なターゲットか否かを確実に判断するのは難しいという現実があります。では欧米をはじめ、アドベリフィケーションツールを活用している企業はどのように「人なのか、コンピューターなのか」「人だとしてもターゲットなのか」を判断しているのでしょうか。そのヒントは欧米に限らず世界中で人気のFacebook広告にあります。

次のページ
Facebook広告が世界中で人気の理由は、配信先が“ほぼ人だから”

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
アドフラウド対策最前線連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

菅原 健一(スガワラ ケンイチ)

株式会社Moonshot 代表取締役 CEO

企業の10倍成長のためのアドバイザー。社会や企業内に存在する「難しい問題を解く」専門家。クライアント10社、エンジェル投資先20社の計30社のプロジェクトを並行して進める。過去に取締役CMOで参画した企業をKDDI子会社へ売却しそのまま経営継続し売り上げを数百億規模へ成長。スマートニュース...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2016/01/08 10:00 https://markezine.jp/article/detail/23661

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング