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リクルート、人工知能研究を本格化 【後編】リクルートのビジネスのみならず社会に貢献する研究とは

リクルート、アカデミック、社会の三方へ貢献する

MZ:RITは、さらに飛躍的にバージョンアップしそうですね。具体的に、どのような基準で研究を進めているのですか?

石山:基本的に、プロジェクトベースで運営しています。そのプロジェクトの選定基準は明確で、リクルート、アカデミック、そして社会のすべてに貢献できるものですね。

MZ:リクルートのビジネスに貢献するだけに留まっていないのですね。

石山:そのほうが、当社のことだけを考えるよりも、結果的に当社にも大きなリターンをもたらすと思っているからです。

 アカデミックの観点を加えれば、RITでのプロジェクトが現場の業務改善レベルではなく、グローバルで高いレベルのイノベーションをアウトプットしなければならない、という制約が生まれます。

 また社会貢献の観点は、前編で「誰もがAIを使える時代」が来るとお話ししたことに関連します。AIの発展においていちばん重要なのは「皆が使えるようになる」こと。世の中の全員が使えるなら、当然リクルート社員も使えますから、社会という広い視点を持つことで、よりスケールの大きいソリューションを考えられます。

MZ:つまり、世の中の誰もが使えるイノベーションを生み出そうと日々研究しているのですね。

石山:はい、とても難しいお題だと思います。ただし、お題が難しいほど、それに見合う優秀な人が集まりやすいという効果もあるので、その点にも期待しています。

 実は、今お話しした“三方への貢献”という条件は、RITのヘッドでAI領域の権威であるAlon Halevy(アーロン・ハーベイ)博士が構築したものです。昨年11月に就任いただいたばかりですが、すでにレベルを押し上げてくださっていますね。

Alon Halevy(アーロン・ハーベイ)博士

現場と研究所の境なくプロジェクトを推進

MZ:RITの移設に伴い、日本にはRITと現場をつなぐ役割としてRIT推進室が新設され、石山さんが責任者になっています。既存のビジネスとはどのように連携していくのですか?

石山:推進室としては、既存ビジネスを提供する各グループ会社と共同でプロジェクトを運営しています。私たちが横断的にヒアリングしていくと、グループ会社それぞれが持っている課題が実は共通しているケースもあるので、座組は効率的かつ柔軟にしていますね。

MZ:先鋭的な組織でも、中央集権ではなく現場とひざを突き合わせて進めているんですね。

石山:そうですね。単なる業務効率の改善なら中央集権のほうが適当かもしれません。でも、新しいビジネスや手法を生み出すには、皆でアイデアを出し合ったほうがいい。「皆が使える」ことを目指すにも、そのほうが近道です。CGM(Consumer Generated Media:消費者生成メディア)のBtoB版みたいなものですね。

 実際、データも機械学習のアルゴリズムも現場にあるので、そこで速くPDCAを回すほうがAIの成長が速い。赤ちゃんが毎日、100km離れたところにミルクを飲みに行かないといけないとしたら、つらいですよね。絶対にミルクは手元にあったほうががいい(笑)。

MZ:その発想は、とてもおもしろいですね!

石山:だから、地産地消の発想のように、現場で育てていく。理想は、誰が研究所の人で誰が現場の人なのか、区別がつかないくらい一緒に取り組むことです。現在、各グループ会社との連携を随時検討しています。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/02/17 11:00 https://markezine.jp/article/detail/23827

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