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リクルート、人工知能研究を本格化 【後編】リクルートのビジネスのみならず社会に貢献する研究とは

テクノロジー×マーケティングで発見した2つのこと

MZ:RIT推進室はそうやって現場とやり取りしながら、シリコンバレーのRITとも連携していくのですね。

石山:現場でのナレッジは、RIT本体へフィードバックしています。研究者の側も、既存ビジネスにおける実際の問題にインスパイアされて新たな研究のヒントを見つけたりするので、これも大事です。

MZ:ここまでも、かなり近未来の話をうかがってきたように思いますが、改めて今後の展望や、石山さんが今注目している潮流を教えていただけますか?

石山:テクノロジーとマーケティングとの関わりを振り返ると、2つの大きな発見があります。

 ひとつは、コンピューターがダウンサイジングして、スマートフォンのような形で個々人に根付いたことです。既存の技術発展のセオリーでは、スーパーコンピューターとして先鋭的に進化するはずが、人間のクリエイティビティーや遊び心によってそれに留まらなかった。個人に拡大したことで、結果的にマーケットのパイ自体も大きくなりました。

 もうひとつは、テクノロジーの発展で、どんな人でも起業できるようになったことです。コンピューターが高かった時代は莫大な資金が必要でしたが、技術が汎用化して、PCひとつで起業するエンジニアのファウンダーが登場しました。次いで、デザインで差別化するデザイナーのファウンダーが増え、さらに今はデータ解析を武器とするグロースハッカーのようなファウンダーが出てきています。

自分の中に小さな“ラボ”を持つ

MZ:たしかに、今ではPCひとつあれば誰でも起業家になれる時代ですね。

石山:コンピューターが小さくなって人の手の平に収まり、かつマーケットへの参入障壁が著しく低くなった、この2つの歴史に、マーケティングやマーケターの未来を考える上での重要なポイントがあるような気がしています。

 たとえば、マーケターがAIを使いこなせたら、ユニークな価値観や発想を自分でどんどんマーケティング施策へ反映できますよね。それによって新しい市場も生まれるし、多様化も進むでしょう。同時に、マーケターの中でもさらに専門特化した新しい職業が生まれるかもしれません。

MZ:お話を聞くほど、マーケターとAIは深い関わりがあるような気がします。マーケターがこれから生き残っていくためには、どんな力が必要でしょうか?

石山:前編で、直近で必要になるマーケターの能力として、データサイエンティストの採用やデータ自体を生み出す力についてお話ししました。これらに加えて、少し大きな話になりますが、時代を先読みして自分自身の成長を促すことが求められると思います。

 先進的な企業のマーケターは、自分自身のセンスで、10年後や20年後の変遷を感じているはず。マーケター自身が心の中に小さな研究所を持っているような意識で、テクノロジーを味方につけて、新しいアイデアの具現化につなげられるといいですね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/02/17 11:00 https://markezine.jp/article/detail/23827

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