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統括編集長インタビュー

ABテストでコンバージョン300%増! 富士フイルム写真年賀状、短期決戦の舞台裏


問いかけに対して答えを出せるのは企業側の知見

押久保:今おっしゃった“振り幅が大きいバリエーション案を出す”ことは、割と難しいものなのでしょうか?

一色:そうですね、やってみて思ったのですが、我々としては長年の知見を元に毎年「これが最もよい」と思う案を出しているので、それとはまったく異なる切り口の案を内部から出すのは難しいです。このサイトでできるすべてを並べていた既存の案は、幅広いユーザーにとって親切ではあったと思います。

 ただ、「年賀状をつくりたい人がいちばん見たいのは?」という問いかけによって「それはデザインだ」という解答を出せて、デザインをさくさく探せるファインディングにぐっと寄せた結果、大きな効果が得られた。違うモードの人には少し情報を探しづらいデメリットはあったかもしれませんが、“熱い”ユーザーのその瞬間は捉えられたのだと思います。

野口:支援する側だと、問いかけはできても、解答はやはり企業の内部の知見からしか得られません。なので、私たちに丸投げだとうまくいかない。一方で、企業の考えが強すぎると、既存の考えから大きく変えた案を許容していただきにくく、この場合も結果が出にくいんです。

 私たちが支援するケースは、丸投げか企業の考えが強すぎるかのどちらかが多いので、今回のように企業が主導しながら、うまくタッグを組んで進められたことはとてもよかったですね。

数値で明らかになったことがチームの刺激にも

押久保:実際、今回の成果にはどのような手応えを感じられていますか?

一色:数値的には、もちろん大満足です。皆で練りに練って準備していた案が完敗したことは、担当者ともども悔しくはありますが(笑)、管理職的な視点だと、こういうことでもなければ自分たちの考えに慢心しかねない。チームにも、大きな刺激になりました。

野口:チームのデータドリブン意識が統一されていて、積極的な現場担当者もいらっしゃるので、実施中にもその場の判断を瞬時に行っていただけました。私たちにとっても非常に重要な事例になりましたし、今回の知見をしっかり組織に根ざしていただけると思います。

押久保:では、今後の展望を教えてください。

一色:まず年賀状では、DMPによって新規とリピーターを判別できるので、UIの出し分けを試したいですね。検索も「富士フイルム 年賀状」で来る人と「年賀状」だけの人では、目的も気持ちも異なるので、そのあたりもABテストを使って見極めたいと思います。

 横展開としては、フォトブックなど他の写真事業にはすぐ応用できますし、冒頭でお話しした他事業やグローバルへ、また公式サイトの刷新にも活用するつもりです。

 同時に、我々から当社内へのナレッジ共有を強化して、会社全体のデータドリブン意識を育てながら、人材確保にも力を入れていきます。

野口:ABテストは投資を最大限に抑える、ROI最適化ツールでもあります。たとえば公式サイトなどは、以前は一気にリニューアルすることが一般的でしたが、これはリスクが高すぎる。

 悪いエクスペリエンスを与えてしまうと、ユーザーが離れます。なので私たちとしては今後、リニューアルありきのプロジェクトにもABテストの手法が採用されるように、情報発信に注力したいですね。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/02/19 17:59 https://markezine.jp/article/detail/23834

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